先生のための金融教育セミナー
2020年度 先生のための金融教育セミナー(オンライン開催)
B 金融や経済の仕組みに関する分野
小学校
「ポイントでつながる社会」
(5年 社会科)
埼玉県川越市立月越小学校 朝倉 大輔 教諭
この実践は2年前に5年生を対象に行った社会科の実践です。実践にあたっては、埼玉県の金融広報アドバイザーの方にご協力をいただきました。
まず「情報通信の発達」について授業を行いました。子どもたちは、情報通信の発達が誰のためにどのように役立っているのかを調べ、これからの社会がますます便利になることを実感した一方で、「情報通信技術を活用した最新のデバイスを持っていなければ、便利な生活を送れないのだろうか?」という疑問を持ちました。この疑問に対しては、「便利な機能が使えるようになるから新しいものに買い替えていく方がよい」という意見があった一方、「みんなのための社会だから、最新のデバイスを持っていない人も便利に暮らせることが必要」と考えた児童もいました。
次に、販売者と消費者それぞれの立場で、買い物について考えました。販売者としては「たくさん売って儲けたい」、消費者としては「いいものを安く買いたい」というそれぞれの立場を子どもたちが理解したところで、買い物では販売者と消費者は利害が対立する関係なのかという疑問を投げかけました。
ここで、子どもたちにとっても身近なポイントカードを題材に取り上げました。ポイントカードには、一つの店舗でのみ使えるカードと色々なお店で使える共通ポイントカードがあることなどを金融広報アドバイザーの方にわかりやすく解説していただき、共通ポイントカードはなぜ色々なお店で使えるのかを考えました。共通ポイントカードにより集積されたビッグデータを活用することで、販売者はヒット商品を作りやすくなったり人気商品を定番化できるようになり、消費者もこれまでよりもよい買い物ができるようになることを子どもたちに気づかせました。また、このことから、最新のデバイス機器を持っていなくても、情報通信技術はすでに生活の中にあることも学びました。
お金やポイントといった身近にあるものを授業で用いることは社会を見る視点としてとても面白く、有効だと考えています。この授業は、教師だけではなく、金融広報アドバイザ―の方と協力してチームティーチングで行ったことで、生徒たちの理解がより深まったと思います。