おかねのね
お手伝いは絶対しないとダメなの?
権利と義務はセット?
契約においては、「権利と義務」をセットで考えましょう。それは、約束でも同じです。約束をした自分と相手の両方に、約束を守ってもらう権利と約束を果たす義務とがあるということです。例えば、片づけをしたらおやつを食べるという約束を子どもとしたとします。約束によって、子どもには、片づけをしなければいけない義務とおやつを食べることができる権利が生まれますが、家の人にもおやつを用意する義務と片づけをしてもらう権利が生じるということです。日常生活における約束が、子どもにとって、「権利」と「義務」について考えるきっかけとなることでしょう。
働くうえでの「権利」と「義務」
働く(労働)ことは、約束(契約)のひとつです。働く人(労働者)と働いてもらう会社(使用者)との間に取り交わされた「労働契約」という約束になります。労働者には働く義務があり、会社には労働者に働いてもらう権利があるわけですが、そのほかにもいろいろな権利と義務の関係をみることができます。
働く人(労働者) | 会社(使用者) | |
---|---|---|
権利 | [賃金請求権]働いた分の賃金を適切にもらう権利 | [指揮命令権(業務命令や人事権)]仕事に関することを命令する権利 |
義務 | [労務提供義務]会社の指揮命令に従って誠実に働くこと
[職務専念義務]働いている時間はその仕事に専念すること [教育・研修受講義務]仕事に必要な知識、技術などを学ぼうとすること [職場の秩序順守義務]職場のルールや決まりを守ること [誠実義務(守秘義務など)]職場内のことは他で話さない。会社の秘密を守ること |
[賃金支払い義務]法律に従って働いた分の賃金を支払うこと
[安全配慮義務]働く人の生命や身体などを危険から保護すること [職場環境保持(配慮)義務]気持ちよく働ける環境を整えること [人格的利益の尊重義務]働く人のプライバシーを保護すること [男女の平等取り扱い義務など]仕事の内容や賃金を性別で区別しないこと ・・・等 |
これらの権利・義務は、近現代において法制化されたり、ルール化されたりしてきました。よりよい環境で働くことができるように、先人が時には闘争を経て確保してきたものです。また、ひとつの権利にいくつかの義務が伴うこともあります。だからこそ自分自身の権利を主張する前に、自分が果たすべき義務に目を向けることも大切です。
憲法にみる働く上での「権利」と「義務」
日本国憲法の第二十七条には、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」とあります。国民は働く権利を有しています。国は働こうとするものすべてが働けるよう、国民の権利を守らなければなりません。ただ、そもそも、働こうとする者がいなければ国民の生活を支えることができません。そこで国民の働く義務についても定められています。