起業を考える ―多様化する働き方の選択肢―
(Q6 企業のライフサイクル)
Q6 起業後に会社はどのように変遷していくのでしょうか
A6 一般的に、創業期→成長期→成熟期と移行していきます
最後に、起業後に企業はどのように変遷していくのか、一般的なケースをもとに見ていきましょう。
大別すると、企業の変遷には創業期・成長期・成熟期という3段階があります【図表7】。
創業期 | 成長期 | 成熟期 | |
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マネジメント策の例 |
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- (出所)
- 監修者作成
(創業期)
創業期は売上が安定せず、収入より支出が先行することの多い苦しい時期といえます。
自己資金、助成金・補助金、協力者からの援助などで資金を準備したとしても、事業が軌道に乗るまでは資金繰りが厳しくなるケースも少なくありません。
従業員への給与支払いが難しくなり、結果として人材流出に繋がる恐れもあります。
売上を上げるためには、資金や人材などの経営資源を適切に調達・配置しなくてはなりませんが、それには相応の資金が必要となるため、起業直後に資金が不足して事業が失敗に終わることもあります。
こうした起業直後の停滞期を乗り越えられるかどうかが、事業を成功させるうえでの大きなポイントといえます。
(成長期)
そこを乗り越えると、起業は成長期に突入します。成長期では、短期的な視野だけでなく、中長期的な視野で事業や資金調達を計画することが大切です。
また、外部へのアプローチだけでなく、内部の管理機能にも気を配る必要があります。
(成熟期)
成長期を経て、企業は成熟期に至ります。
成熟期になり、事業や従業員の規模も大きくなると、1人の経営者では立ち行かなくなることもあります。
その場合には、代表の役割を複数人で分担し、例えば経営・執行・財務の責任者3人による経営体制に移行するという方法もあります。
また、事業の効率化を図るためにも、企業を複数の部署に組織化し、責任と権限を上手に分散させることも大切です。
さらに、企業が存続する限り、競合他社との争いは続いていきます。
そこを勝ち抜くためにも、新たな価値の創出は常に欠かせません。
一方で、忘れてはいけないのが倒産のリスクです。残念ながら、企業が成熟期に至る前に道半ばで倒産してしまうことも少なくありません。
出資や保証の形態などにもよりますが、その際の責任は社長が負うことになるケースが多いのが実情です。
その結果、多大な負債を抱える可能性もあることは常に留意しておく必要があります。
先述した通り、会社法の施行によって、起業すること自体へのハードルは低くなっています。
しかし、事業を軌道に乗せ、企業を存続させていくためには、長期にわたる不断の経営努力が不可欠です。
また、起業には倒産というリスクが常につきまとい、社員を多く抱えるほどその影響は大きくなります。
起業する際には、これらのことをよく理解したうえで、相応の覚悟を持って決断するようにしましょう。