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豊かなセカンドライフへの架け橋~ご退職前後の手続き~

年金の手続き

年金記録の確認

長きにわたって加入してきた年金の記録をしっかりと確認しましょう。年金の記録は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認することができます。

ねんきん定期便

ねんきん定期便は、国民年金や厚生年金保険の加入者に、毎年、誕生月(1日生まれの方は誕生月の前月)に送付され、加入期間、年金見込額(50歳未満の方は加入実績に応じた年金額)、保険料納付額などを確認できます。50歳以上の方に記載されている年金見込額は、60歳になるまで現在の状態が続いた場合の年金額であることに注意してください。また、年金見込額には加給年金額や振替加算額および厚生年金基金(または企業年金連合会)から支払われる年金額などは含まれていません。

節目年齢(35歳、45歳、59歳)の方には、封書で送付され、加入履歴などの確認も可能です。節目年齢以外の方にはハガキで送付されます。とりわけ、年金受給開始が近い59歳で送られてくるねんきん定期便の加入履歴に漏れや誤りがないか確認しておきましょう。

ねんきん定期便(日本年金機構HPへリンク)

ねんきんネット

ねんきんネットの利用登録をすることにより、24時間いつでも最新の記録(毎日更新されます)をパソコンやスマートフォンで確認することができます。また、受け取る年金の見込額等を確認できるほか、さまざまな条件に応じた試算も可能です。

ねんきんネットの利用登録は日本年金機構のホームページ上で行うことができます。利用登録の際、ねんきん定期便に記載のアクセスキー(有効期限3ヵ月)がある場合は、即時に利用に必要なユーザIDが発行され、アクセスキーがない(有効期限が切れている)場合は、ホームページ上での申込みによりユーザIDが郵送されます。

ねんきんネット(日本年金機構HPへリンク)

ねんきん定期便・ねんきんネット専用ダイヤル

ねんきん定期便やねんきんネットの見方がわからない場合には、「ねんきん定期便・ねんきんネット専用ダイヤル」に照会しましょう。

ねんきん定期便・ねんきんネット専用ダイヤル

0570-058-555(ナビダイヤル)
050で始まる電話からは 03-6700-1144

受付時間

月~金曜日 9:00~19:00
第2土曜日 9:00~17:00
*祝日(第2土曜日を除く)、12月29日~1月3日はご利用いただけません。

年金の請求手続き

年金の受給要件を満たすと年金を受ける権利が生じますが、実際に受給するためには、請求手続きを行わなければなりません。

年金の支給開始年齢になる3ヵ月前に、年金加入記録等が印字された「年金請求書」が送付されます。支給開始年齢の誕生日の前日以降に必要書類を取り寄せ、年金事務所または街角の年金相談センター、共済組合(以下、「年金事務所等」という)のいずれかで請求手続きを行うことになります。国民年金の第1号被保険者期間のみの方については、市区町村役場でも手続きが可能です。

必要な添付書類は個人ごとに異なり、マイナンバーの記入(登録済みの方を含む)によって生年月日に関する書類などが省略できる場合もありますので、あらかじめ年金事務所等や「ねんきんダイヤル」で確認しておくと確実です。

なお、年金の請求手続きが遅れた場合、さかのぼって5年分は受け取れますが、5年を超えた分の年金は受け取れなくなりますので早めに手続きをすることをお勧めします。

年金請求書(事前送付用)(日本年金機構HPへリンク)

全国の相談・手続き窓口(日本年金機構HPへリンク)

ねんきんダイヤル

0570-05-1165(ナビダイヤル)
050で始まる電話からは 03-6700-1165

受付時間

月~金曜日 8:30~17:15
ただし月曜日(月曜が祝日の場合、開所日初日)は19:00まで受付時間を延長
第2土曜日 9:30~16:00
*祝日(第2土曜日を除く)、12月29日~1月3日はご利用いただけません。

ワンポイント!

年金は支給開始年齢になったら早めに手続きをすることをお勧めします。60歳台前半の老齢厚生年金は支給繰り下げができないため、請求手続きを遅らせても年金額は増額されません。

また、厚生年金基金の加入期間がある方は、国と加入基金(企業年金連合会)の両方に年金の請求手続きをしてください。

年金請求書が送付されない方

老齢年金を受給するためには受給資格期間(保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上)を満たしていなければならず、日本年金機構の記録でその期間が確認できない方には原則として年金請求書は送付されません。

しかし、日本年金機構の記録で受給資格期間が確認できない場合であっても、合算対象期間(カラ期間)の算入や加入記録の再確認などにより年金を受給できる場合があります。その場合には、年金事務所等に備え付けられている年金請求書により手続きをすることとなります。

合算対象期間(日本年金機構HPへリンク)

なお、年金請求書の送付時点で受給資格期間が満たせていない場合であっても、その後の厚生年金保険への加入、国民年金への任意加入などにより、年金が受けられる場合もあります。

任意加入制度(日本年金機構HPへリンク)

ワンポイント!

2017(平成29)年8月より、年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されたことにより、新たに年金を受け取れる方が増えています。年金請求書が送付されなくても年金を受け取れる可能性がありますので、まずは年金事務所等に相談することをお勧めします。

年金受給の流れ

年金の支払い

年金の決定が行われると、約1~2ヵ月後に「年金証書・年金決定通知書」が送付されます。さらにその約1~2ヵ月後には「年金振込通知書」が送付され、初回分の年金が指定口座に入金されます。その後は偶数月の15日(金融機関が休業日の場合は前営業日)に前月までの2ヵ月分ずつが入金され、毎年6月に年金振込通知書が送付されることになります。

60歳台前半の老齢厚生年金を受給されていた方の65歳到達時の請求手続き

60歳台前半の老齢厚生年金を受給されていた方が65歳に到達すると、老齢厚生年金と老齢基礎年金が支給されることになるため、再度請求手続きが必要となります。日本年金機構から65歳到達月の初旬に「年金請求書」(ハガキ)が送付されますので、所定の事項を記入の上65歳到達月の末日までに返送することにより、65歳以降の年金の決定が行われます。

図表2:年金受給と手続きの流れ
厚生年金1年以上加入:1957(昭和32)年4月2日~1959(昭和34)年4月1日生まれの男性の場合 60歳になるまでの加入中は、年金受給予定額を「ねんきん定期便」等により確認します。63歳到達の3ヵ月前に年金請求書が届くので、63歳誕生日前日以降に手続をします。63歳から厚生年金の「報酬比例部分」が支給されます。年金額は63歳到達月の前月までの厚生年金期間で計算されます。65歳到達月の初旬に年金請求書(ハガキ)が届きます。65歳到達月の末日までにハガキを返送します。65歳からは、「老齢厚生年金」に経過的加算と、加給年金対象者がある場合には加給年金額が加算され、「老齢基礎年金」とともに支給されます。

資料:「年金相談の実務2018年度版」鈴江一恵著(経済法令研究会)一部変更

ワンポイント!

60歳台前半の老齢厚生年金を受給されていた方は、65歳時に送付される「年金請求書」(ハガキ)の返送が遅れると、年金が一時差し止めになることがありますので返送期限にご注意ください。

なお、65歳以降の老齢厚生年金と老齢基礎年金は支給繰下げが可能です。いずれか一方のみの支給繰下げを希望する場合には、「年金請求書」の該当欄に○印を記入して返送します。両方の年金の支給繰下げを希望する場合には、「年金請求書」を返送しないでください。

働きながら受ける年金(在職老齢年金)

老齢厚生年金を受給しながら厚生年金保険に加入する場合、年金の全部または一部が支給停止されることがあります。このような年金を在職老齢年金といいます。厚生年金保険に加入しても必ず停止されるというわけではなく、年金額(基本月額)や報酬の額(総報酬月額相当額)によって支給停止額がきまります。

在職中の年金(日本年金機構HPへリンク)

支給停止の計算のしくみは60歳台前半と65歳以降で異なります。支給停止の対象になるのは老齢厚生年金(報酬比例部分)であり、老齢基礎年金は支給停止されることはありません。

なお、厚生年金保険に加入できるのは70歳になるまでであり、70歳以降に在職していても厚生年金保険料の支払いは不要です。ただし、在職老齢年金の対象となるため、年金の全部または一部が支給停止されることがあります。

図表3:老齢厚生年金受給者の在職による支給停止の対象となる年金
厚生年金1年以上加入:1957(昭和32)年4月2日~1959(昭和34)年4月1日生まれの男性(加給年金対象者あり)の場合 63歳から厚生年金の「報酬比例部分」は、在職支給停止対象です。65歳からの「老齢厚生年金」は、在職支給停止対象です。「経過的加算」「老齢基礎年金」は、全額支給されます。「加給年金額」は、全額支給か全額支給停止のどちらかです。

※加給年金額は、老齢厚生年金(報酬比例部分)が一部でも支給される場合は全額支給され、老齢厚生年金(報酬比例部分)が全額支給停止される場合は、全額支給停止となる。

資料:「年金相談の実務2018年度版」鈴江一恵著(経済法令研究会)

以上のように、年金を受給しながら厚生年金保険に加入すると年金の全部または一部が支給停止されることがありますが、在職中の保険料の支払いによりその後の老齢厚生年金の年金額が増えます。ただし、年金額が改定されるのは退職したときであり、改定された年金は退職した月の翌月分から支給されることになります。なお、年金額の改定時期は、退職したとき、65歳になったときまたは70歳になったとき(70歳になるまで加入した場合)とされています。

年金を受給しながら働く場合でも、働き方によっては厚生年金保険に加入しない場合もあります。厚生年金保険に加入した場合、年金がどのように調整され、どの時点で年金額が改定されるのかを知っておくことは、ライフプランをたてるにあたって重要です。具体的な調整額等は年金事務所等で事前に確認しておくことをお勧めします。

ワンポイント!

在職老齢年金は、年金額や報酬の額の変動に応じて支給停止額も変わることになります。年金受給開始時点では報酬が高く、年金が全額支給停止される場合であっても、その後に報酬が低下すれば、年金が支給されることもあります。年金の請求手続きをしておけば、報酬の変動に応じて自動的に年金が支給されるため、受給開始時点では全額支給停止となる場合であっても請求手続きはしておきましょう。

雇用保険と年金との調整

雇用保険の失業給付(基本手当)を受給する場合、60歳台前半の老齢厚生年金と基本手当の両方は受給できないため、ハローワークで求職の申込みをした月の翌月から基本手当の受給期間が満了するまでの間、年金が支給停止されます。

また、高年齢雇用継続給付を受給する場合、60歳台前半の老齢厚生年金は、在職老齢年金の支給停止に加えて、さらに標準報酬月額の最大6%が支給停止されます。

日本年金機構は年金請求書に記載された雇用保険の被保険者番号(被保険者証の写し添付)をもとに、これらの雇用保険の給付の受給を確認します。

雇用保険と年金との調整(日本年金機構HPへリンク)

ワンポイント!

失業給付の受給を希望する場合であっても年金の請求手続きはしておきましょう。年金の請求手続きをしておくことにより、失業給付(基本手当)の受給が満了すれば、自動的に年金が支給開始されることになります。しかし、年金の受給を希望する場合には、求職の申込みをすると年金の支給が遅れることがあるため、求職の申込みは行なわないようにしましょう。

退職等に伴う配偶者の種別の変更

国民年金の第2号被保険者の被扶養配偶者であって20歳以上60歳未満の方(第2号被保険者を除く)が第3号被保険者となります。

したがって、下記①②のいずれかに該当した場合には、第3号被保険者であった配偶者は、市区町村役場で第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更の手続を行わなければならず、配偶者自らが60歳になるまで国民年金保険料を納付することになります。


  • ①厚生年金保険の被保険者が退職し、国民年金の第2号被保険者の資格を喪失した場合
  • ②在職中で厚生年金保険の被保険者ではあるが、65歳に達し、老齢年金の受給権があるため国民年金の第2号被保険者の資格を喪失した場合

年金受給開始後の手続き

年金を受け取れるようになってからも、状況の変化に応じてさまざまな手続きを行わなければなりません。

年金受給者は引き続き年金を受け取るために、健在であることの届出として、毎年、誕生月に「年金受給権者現況届」(以下、「現況届」という)を提出しなければなりません。ただし、住民基本台帳ネットワークで確認できる場合、年金請求書にマイナンバー(個人番号)を記入(登録済みを含む)した場合には、現況届の提出が原則不要となっています。また、年金請求当時マイナンバーの記入が必要なかった場合でも、(2017(平成29)年2月以降は)現況届の提出の際にマイナンバーの記入が必要となっており、マイナンバー登録後は翌年以降の現況届の提出は原則不要となります。

なお、「現況届」が不要となっても、加給年金対象者がいる場合の「生計維持確認届」や障害年金を受けている場合の「障害状態確認届」は必要です。

誕生月がきたとき 年金受給権者現況届(日本年金機構HPへリンク)

必要な手続きを行わなかった場合には、年金が一時差し止められることもあります。大切な年金を確実に受け取るためにも、少しでも不明な点があれば、年金事務所等またはねんきんダイヤルに照会しましょう。

ワンポイント!

従来は基礎年金番号で行っていた各種届出・申請では、原則としてマイナンバーを記入します。マイナンバー登録後(マイナンバーと基礎年金番号が紐付いている場合)は住所変更届や氏名変更届などの届出を省略することができます。

また、年金事務所では、基礎年金番号に代えてマイナンバーを提示することでも年金相談・照会ができます。

年金と税金

老齢年金は雑所得として所得税(復興特別所得税を含む)がかかり、年金支給額が108万円(65歳以上の方は158万円)以上の方は源泉徴収の対象となります。

扶養親族等申告書と源泉徴収

源泉徴収の対象となる方には、毎年、日本年金機構から「扶養親族等申告書」が送付されます。扶養親族等申告書を日本年金機構に提出することにより、年金支給額から社会保険料や各種控除額を差し引いた額に5.105%を乗じた額が源泉徴収されます。なお、扶養親族等申告書を提出しない場合、税率10.21%で源泉徴収されるほか、各種控除を受けることもできません。

確定申告

退職後は年末調整が行われませんので、確定申告を行って1年間の税金を精算することとなります。確定申告の際には毎年1月頃に送付される「公的年金等の源泉徴収票」の添付が必要となります。

なお、公的年金等の収入金額が400万円以下、かつ年金以外の所得金額が20万円以下の場合は、確定申告の義務はないものとされています(年金所得者の確定申告不要制度)が、確定申告の義務がない場合でも、医療費控除や生命保険料控除などを受けるのであれば、確定申告を行わなければなりません。

公的年金等控除(国税庁HPへリンク)

扶養親族等申告書(日本年金機構HPへリンク)

公的年金等の源泉徴収票(日本年金機構HPへリンク)

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