金融商品なんでも百科
(平成30年4月)
保険・共済
取扱い金融機関
保険には、大別して民間の保険会社が取扱っている生命保険、損害保険のほか、農業協同組合(JA)、全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)などが取扱っている各種の共済、少額短期保険会社が取扱っている少額短期保険があります。平成22年4月からは、消費者等の保護を一層図る観点などから抜本改正された保険法が施行され、原則として平成22年4月以降に締結された保険や共済契約に適用されています。
保険法
保険法は、社会経済情勢の変化に対応するため、商法に規定されていた保険契約に関する法制を100年ぶりに抜本改正し、新たに制定したものです。
主な特徴としては、傷害疾病保険契約に関する規定を新設したほか、共済契約も対象範囲としています。
また、保険契約者等の保護の観点から、(1)告知制度に関する規定の見直し、(2)保険金の支払時期に関する規定の新設、そして何よりも(3)この法律の規定以上に保険契約者等に不利な内容の約款の定めは無効とした(例外あり)、とされました。
生命保険の最近の販売経路
(ネット生保)
いわゆるネット生保とは、インターネット上で24時間すべての申込み手続きを行うことができる生命保険(会社)のことです。
インターネット上で契約手続きを行うため、人件費などのコストを削減でき、一般的に保険料は割安になります。その反面、個別のコンサルティングを受けることができません。比較的シンプルな内容の保険商品が取扱われていますが、加入する際には自身の保険の知識が重要になります。
(乗合代理店)
複数の保険会社の保険商品を取扱う募集代理店です。スーパーやショッピングセンターなどに店舗が併設されているほか、担当者に自宅や指定した場所に来てもらうことが可能な代理店もあります。
生損保合わせて50社以上の会社の保険商品を取扱っている代理店もあり、いろいろな保険を比較することができます(すべての保険会社の保険商品を取扱っているわけではありません)。
(銀行などの代理店)
銀行窓販などと呼ばれる販売経路です。銀行、証券会社、信用組合などの金融機関のなかには、保険会社の募集代理店として生命保険を取扱うところもあります。銀行窓販専用の保険商品を設けている保険会社もあります。
なお、複数の生命保険会社の保険商品を取扱う募集代理店には、取扱商品のうち「比較可能な商品の一覧」の提供と「特定の商品の提案やそれを勧める理由」を説明する義務があります。
保険とは
保険の必要性
価値観の多様化により私たちのライフスタイルは、人それぞれにさまざまです。一方で、死亡、病気、火災、自動車事故などの予期せぬアクシデントによって、思い描いていた生活設計が台無しになったり、経済的に生活が困難になったりすることもありえます。保険はこうしたリスクから自分や家族の生活を守る大切な備えとなります。
保険とは、多数の人がお金を負担し合い、偶発的な事故などによって、お金が必要となる場合に一定の給付を受ける仕組みをいいます。
預貯金などの金融商品が、「貯める」ものとしてとらえることができるのに対し、保険は、まさに不測の事態に「備える」ものとしてとらえることが可能です。
貯蓄と保険について、時間と金額の関係を図で表すと三角形と四角形で表せます。これらのかたちは、貯蓄の場合、万が一の事故が起きた時点で十分な蓄えになっているとは限らない一方、保険は契約期間内であれば、加入した時点から一定の保険金が得られることを表しています。
保険の機能
保険を大きく区分すると、
- 人が死亡したり、病気・ケガをした場合などを保障する「生命保険」
- 主にモノが壊れた場合などの損害を補償する「損害保険」
の2つに区分できます(注)。
(注)生命保険や損害保険と基本的に仕組みは同じですが、農業協同組合(JA)や全労済などが扱っている商品を「共済」、同様に民営化前の郵便局が扱っていた商品を「簡易保険」といいます。
なお、人が事故で死亡したり、ケガをした場合に補償する「傷害保険」や病気をした場合に補償する「医療保険」などの商品(いわゆる第三分野商品)は、生命保険会社、損害保険会社の両方で販売が可能です。
これを機能面からみてみると、生命保険には、(1)死亡した場合に保険金が支払われる死亡保障機能、(2)病気やケガによる入院費や治療費、あるいは要介護状態となったときの介護費用に対する医療・介護保障機能、(3)子どもの教育費、老後の生活費などにあてるための長期貯蓄機能、(4)一定の年齢に達したときから年金を受取ることのできる老後資金準備機能があります。
損害保険の主たる機能は、(1)火災、交通事故、傷害、賠償責任などにかかるさまざまな損害補償機能ですが、(2)病気やケガの入院費や治療費、あるいは要介護状態となったときの介護費用に対する医療・介護補償機能、(3)貯蓄機能や(4)老後資金準備機能を併せ持った商品もあります。(1)、(2)の機能をもつ一般的な商品を補償タイプ、(1)、(2)の機能に(3)または(4)の機能を付加した商品を積立タイプといいます。
機能別 | 具体例 | 候補となる保険 |
---|---|---|
(1)死亡保障機能 | 家計を支える者が死亡したとき、残された家族に保険金が支払われ、その後の生活の経済面の支えとなります。 | 定期保険、終身保険など |
(2)医療・介護保障機能 | 入院したときや要介護状態になったとき、医療費や介護費用の支払いなどを補うことができます。 | 医療保険、介護保険、就業不能保障保険、特定疾病保障保険など |
(3)長期貯蓄機能 | 満期保険金を受取ることができます(養老保険などの場合)。 子どもの入学などに合わせて祝金が受取れるなど計画的な資金作りに役立ちます(こども保険の場合)。 |
養老保険、こども保険など |
(4)老後資金準備機能 | 老後の資金作りに役立ちます(個人年金保険など)。 | 個人年金保険、変額個人年金保険など |
機能別 | 具体例 | 候補となる保険 |
---|---|---|
(1)損害補償機能 | 火事で家が焼けてしまったときの家の再築、家財などの購入費用や交通事故を起こしてしまったときの賠償金などにあてることができます。 | 火災保険、傷害保険、自動車保険など |
(2)医療・介護補償機能 | 入院したときや要介護状態になったとき、医療費や介護費用による支払いを補うことができます。 | 医療保険、介護保険など |
(3)貯蓄機能 | 計画的な資金作りに役立ちます(積立タイプ)。 | 積立タイプの火災保険、傷害保険など |
(4)老後資金準備機能 | 老後の資金作りに役立ちます(積立タイプ<年金方式>)。 | 積立タイプ<年金方式>の傷害保険など |
保険商品は、その時々のニーズに応じたさまざまな商品が開発されていますが、基本的には前掲の機能の組合せにより成り立っています。