Hello, フィンテック!
第3話 スマホで家計簿(その2)
支出の内訳計算も自動化
こうして登録対象が広がり、支出をカバーする範囲が拡大してくると、家計支出の全体像がみえてきます。食料品、本、衣類、電気水道代、住宅ローン、医療費、レジャー、交通費など支出項目をある程度、自動で分類してくれるので、項目別支出が把握できます。
それを月ごと、あるいは週ごとに集計して、去年の同じ月や先月と比較してくれるような機能もあります。同じぐらいの所得水準の家庭の家計簿と比較してくれるサービスもあります。
電気代やガス代の一年間の変動パターンをきちんと把握している方、どれぐらいいらっしゃるでしょうか。家計簿アプリでながめてみて、ガス代の冬と夏の差の大きさに驚いたことがあります。金額を突きつけられて初めて、冷たい水をお湯にするのはガス代が何倍もかかるのだという当たり前のことに気が付きました。
あらかじめ決めておいた予算と比較してくれる機能がついたサービスもあります。また、収入や変えられない固定費を前提に、食費やレジャー費はこれぐらいに抑えてはどうでしょうかと、改善のための予算案を提案してくれるようなサービスもあります。
続けるコツ
実際に家計簿をつけてみると、財布の中身や預金残高と合わないことが生じます。残念なことに、お金が足りないことのほうにずれることが圧倒的に多いでしょう。つまり、現金支出の付け忘れや、口座からの振出がカバーできていないケースがあるということです。
生真面目な方ほど、ここでイヤになってやめてしまうかもしれません。そのときは、月に一度とかタイミングを決めて、残高に合うよう逆算する「支出不明金」の項目を設定してみるとよいかもしれません。
不明なお金がどれぐらい生じているかを知るのも、家計簿をつける意味だと前向きに考えましょう。
収入支出の管理から資産管理へ
スマホアプリで家計簿をつけるのが楽に便利になるというお話をしてきましたが、家計簿アプリのメリットはほかにもあります。別名PFM(パーソナル・フィナンシャル・マネジメント)と呼ばれるように、個人や家計の資産管理にも役立ちます。
収入と支出が記録されれば、その差は、貯蓄か貯蓄取り崩し(あるいは借金)です。貯蓄は預金だけとは限りません。例えば、投資信託や株式を購入する場合もあります。
この場合、預金が減って、代わりに金融資産が増えますが、これも証券口座を登録するサービスを提供している家計簿アプリでは、自動で管理できるようになります。株価が動いて資産価値が変化する様子も確認できます。
その先のライフプランニング
家計簿アプリの先にはライフプラン管理があります。家計簿は、所得や支出というフロー(出入り)の動きと、現在の貯蓄や金融資産というストック(蓄え)を把握するものです。
この毎月毎年のフローの動き、ストックの変化を将来方向に伸ばしていくと、自分のライフプランが見えてきます。家計簿からは平時の支出入がわかります。
それを参考に将来の支出入を設定し、そこに大型の案件、例えば、住宅取得・ローン設定や、子供の教育費用、車の買い替えローン、仕事のリタイヤ、年金受給開始などを設定してみると、あなたのお金の未来がみえてきます。
将来の所得や支出を想定するものなので、家計簿アプリで行うものではなく、別の専用アプリが必要になるでしょう。なかには家計簿アプリと連携したものもあります。家計簿アプリで自分の収入と支出の過去と今をきちんと知ることは、その先の未来を考えてみる土台になります。
(2020年10月)