第43回 全国婦人のつどい
「新生活と貯蓄」
特別講演(要旨)「金融新時代を賢く生きる」
証券、保険のセーフティネット
証券および保険会社についても、預金保険に類似したセーフティネットの制度があります。
まず証券会社についてですが、通常は証券会社を通じて購入した有価証券は、保護預かりといって証券会社に預けます。やや大雑把にいえば、銀行の貸し金庫のような形になっているわけです。万一その証券会社が破綻し、かつそれが他に流用されていたとしても、法律に基づいて証券業界が設立した「投資者保護基金」という組織がセーフティネットの役割を果し、投資家に保障する仕組みができ上がっています。
生命保険、損害保険についても、保険契約者に対して必要な保護策を講ずるため、それぞれに「保険契約者保護機構」が設立されています。
保険の場合、支払った保険料を返してもらうだけでなく、保険事故が起こった時に支払われる保険金の保護が重要です。保険会社は責任準備金といって、加入者から受取った保険料を準備金として積み立て、運用しています。そして保険事故が発生した場合、それを取り崩して保険金を支払うことになっていますが、保険金を保護するためには、この責任準備金を十分な水準に保つことが必要です。
したがって、保険における契約者保護は責任準備金を保護するということを基本にしています。おおむね責任準備金の9割を保護することが基本となっていますが、全額保護されるものもあるなど、実際の保護内容は、商品ごとに区々となっていますので、御自身でチェックされるのもよいかと思います。
いずれにしても、競争社会の中での私企業である以上、証券会社や保険会社についても破綻という事態があり得ると想定しておかなければなりません。
そしてその場合でも、セーフティネットの構築により、証券投資者や保険契約者に対して社会的ミニマムとして必要な保護を行うとともに、ひとつの会社の破綻が金融システム全体の動揺につながらないようにしておく必要があるわけです。
つまり、ビッグバンといわれるような競争原理の活用とセーフティネットの構築を両輪とした政策が採られなければならないわけです。