貯蓄・生活シンポジウム 2000
金融新時代を暮らす~ペイオフと私たちの暮らし~
パネルディスカッション
(1) 金融新時代の現状
田部 金融システムの変化はとてもめまぐるしく、本日のテーマにもなっているペイオフについてもどのようなものなのかとか、自分の金融資産がどうなるのかとか、不安をお持ちの方も多いと思います。そこで始めに、現在の金融分野の状況と、それを取り巻く環境がどのような段階にあるのかをお話しいただきたいと思います。
原田 バブルが崩壊し、結果として日本の金融システムが動揺したのですが、その状態から立ち直り、国際競争力を回復するための道として選ばれたのが金融ビッグバン、金融自由化だったわけです。今はまだ生みの苦しみの状態ですが、ペイオフの問題も含めて環境も整備されてきています。
金融機関は本当の意味で消費者の役に立つサービスを提供できるように脱皮しなければいけません。また消費者は根底から新しくなってきた金融システムををいかに上手に利用して、豊かな生活に結びつけていくかというところに立っているのだと思います。
高橋 金融改革の号砲が鳴ってから4年、2001年のゴールに向けて雪崩を打ったように多種多様な金融商品やサービスが登場してきています。ところが、多くの人は「運用難の時代です」と言っています。選択肢は非常に増えたのですが、それはビッグバンの光の部分で、影の部分のリスクの増大が重くのしかかっているからです。
消費者にとってみれば、リスクのある金融商品を使いこなす下地が整っていない中で自己責任原則を突きつけられて、戸惑っているという状態だと思います。
翁 不良債権問題がまだ日本経済に影を落としている部分もありますが、深刻な金融危機は去ったといえます。2002年4月のペイオフ解禁は、まさにこのビッグバンの仕上げと位置づけられます。
これからは、金融機関も経営健全化に鋭意努力していかなければ、預金者に選ばれません。同時に消費者も認識を新たにして、新しい自己責任時代に向かってさまざまな準備をしていく時期と位置づけられます。