所得税アラカルト
10. 医療費控除で税金の還付を!
健康保険が使えない妊娠・出産の費用や、金・プラチナ・セラミックを使った歯の治療費も医療費控除の対象になります。
医療費を、一定限度を超えて支払った年は、確定申告によって所得税の還付を受けることができます。
医療費控除の制度は、還付を受ける本人のほか、配偶者や扶養親族、生計を一にする親族のために支払った医療費を合計して所得の金額から控除することができますので、一家に働き手が何人もいる場合には、所得の高い人にまとめて控除を受けるのが賢い方法です。
医療費控除を受けるには、医師や歯科医師などの領収書をキチンと保存しておき、確定申告書に添付します。病院へ通った交通費などの通院費用は家計簿の記録などによって立証します。
薬局で買った医薬品も医療費控除の対象になりますが、洗剤や化粧品などと紛らわしいときは、領収書に薬の外箱を切って貼るのもよいでしょう。
医療費控除の金額
その年1年間に支払った医療費の総額が所得金額の5%又は10万円を超えた場合には、200万円を限度として医療費控除をすることができます。
保険会社から受け取った入院費給付金、健康保険組合などから支給される療養費・家族療養費・出産育児一時金などは、医療費から差し引かれます。
医療費を上回る給付金が給付されたときは、その給付の原因となった病気について支払った医療費を限度として差し引きます。残りを他の病気に係る医療費から差し引く必要はありません。
その年中に 支払った医療費 |
- | 保険等で補填 される金額 |
- | 10万円又は 所得金額の5%(どちらか少ない額) |
= | 医療費控除額 (200万円を限度) |
控除の対象となる医療費の範囲
- 医師や歯科医師に支払った診療や治療の費用
- 治療・療養のための医薬品の購入代金
- 病院や診療所・老人保健施設・助産所に入院するための費用や通院費用
- 治療のためにあんまマッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師などに支払った施術費
- 保健師・看護師・准看護師による療養上の世話代
- 在宅療養の介護費用、居宅サービスの自己負担額
- 助産師による分べんの介助費用
- 骨髄移植推進財団に支払う骨髄移植のあっせんに係る患者負担金
- 日本臓器移植ネットワークに支払う臓器移植のあっせんに係る患者負担金
控除の対象に含まれるもの
医師が必要と認めた場合には、次の費用も認められます。
- 寝たきり老人のおむつ代
治療している医師の発行した「おむつ使用証明書」と成人用おむつの領収書を添付します。前年におむつ代について医療費控除を受けた人は、2年目以降は「おむつ使用証明書」に代えて市町村長等が交付する「おむつ使用の確認書」等を添付することもできます。 - B型肝炎のワクチン接種費用
医師の診断書と患者の親族への接種であることが分かる領収書を添付します。 - 高血圧・糖尿病などの成人病の運動療法の費用
医師や指定運動療法施設の発行した「運動療法実施証明書」と「運動療法処方箋」に基づくことを明記した運動療法施設の領収書を添付します。 - その他
このほか人工授精の費用や妊婦の健康診断費用などの費用も医療費に含まれます。
控除の対象に含まれないもの
次のような費用は医療費に含まれません。
- 美容整形の手術代
- 健康増進や疾病予防のための医薬品の購入費
- 人間ドックの費用
- 親族に支払う療養上の世話代
- 近視や遠視のメガネ代、コンタクトレンズ代
- アトピーやアレルギー体質の食事療法用の食品購入代
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)
健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組(注)を行っている方が、平成29年1月1日から令和3年12月31日までの間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために特定一般用医薬品等購入費等を支払った場合には、実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金などで補填される部分を除きます)から1万2千円を差し引いた金額(最高8万8千円)を控除することができます。
- (注)
- 一定の取組とは、人間ドックやインフルエンザの予防接種など法令に基づき行われる健康の保持増進及び疾病の予防への取組をいいます。
なお、セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、通常の医療費控除との選択適用となります。したがって、この特例の適用を受ける場合は、通常の医療費控除を併せて受けることはできません。また、これらのいずれかの適用を選択した後、更正の請求や修正申告によりこの選択を変更することはできません。
その年中に支払った 特定一般用医薬品等購入費 |
- | 保険等で補填 される金額 |
- | 1万2千円 | = | セルフメディケーション税制に 係る医療費控除額(最高8万8千円) |