所得税アラカルト
2. 所得税の計算の仕組み
地震等の災害に遭ったり、病気で多額の治療費がかかった場合には所得から控除できます。
総合課税と分離課税
所得税の計算をするときは、原則として各種の所得金額を合計して計算します(総合課税)。しかし、利子所得、山林所得、退職所得、土地や建物などの譲渡所得、源泉分離課税または申告分離課税を選択した配当所得などは、他の所得と合計しないで、それぞれ分離して所得税の計算をします(分離課税)。
所得税の計算の仕組み
所得税の計算は大きく分けると、次のような順序になります。
(1)各種所得の金額の計算 | 各種所得は、それぞれの収入金額から所得の金額を計算します。 1. 所得の区分は10種類 |
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(2)損益通算 | 各種所得の金額を合計する場合に、損失の金額が生じている所得があるときは、その損失を他の所得と相互に差引計算することのできる損益通算という制度があります。損益通算することのできる所得は、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得に限られます。 |
(3)損失の金額の繰越し又は繰戻し | 損益通算をした結果、損失の金額が残った場合や雑損控除の控除不足額がある場合には、一定の条件に該当するときに限り、その損失の金額や雑損控除の控除不足額を翌年以後3年間に繰り越したり、その損失の金額を前の年に繰り戻すことができます。 |
(4)所得控除 | 損失の繰越控除をした後、所得控除の金額を差し引いて、課税所得の金額を計算します。 |
(5)税金の計算 | 所得控除をした後の課税所得の金額に、税率を掛けて税額を算出します。 |
(6)税額控除 | ローン控除等の金額を控除して納税額を計算します。 |
復興特別所得税について
東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律第117号)により、平成25年1月1日から令和19年12月31日までに生ずる所得については、所得税のほか、基準所得税額×2.1%の「復興特別所得税」が課されます。
したがって、たとえば、利子所得の源泉徴収にかかる税率は、所得税15%+復興特別所得税0.315%(所得税15%×復興特別所得税2.1%)+住民税5%=20.315%となります(詳細は後述)。
各種所得控除の内容
種 類 | 内 容 |
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雑損控除(注1) | 災害・盗難・横領により生活用資産などに損害を受けた場合 |
医療費控除(注1) | 本人・生計を一にする配偶者や親族のために医療費を支払った場合 |
社会保険料控除 | 本人・生計を一にする配偶者や親族の健康保険料等を支払った場合 |
小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済法の規定により中小企業基盤整備機構と結んだ共済契約の掛金・心身障害者共済掛金を支払った場合 |
生命保険料控除 | 本人・配偶者等を受取人とした生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料を支払った場合 |
地震保険料控除 | 住居用の家屋・動産等の損害保険契約等に係る地震等保険料を支払った場合 |
寄附金控除(注1) | 共同募金などの特定寄附金を支払った場合 |
障害者控除 | 本人・控除対象配偶者・扶養親族が障害者である場合 |
寡婦控除 | 夫と死別又は離婚して一定の要件に該当する人 |
寡夫控除 | 妻と死別又は離婚して一定の要件に該当する人 |
勤労学生控除 | 本人が勤労学生で所得が一定の金額以下である人 |
配偶者控除(注2) | 配偶者の所得が一定の金額以下の場合 |
配偶者特別控除(注2) | 本人の所得が1,000万円以下で、配偶者の所得が一定の金額以下の場合 |
扶養控除 | 所得が一定金額以下の親族がある場合 |
基礎控除 | 本人の控除 |
- (注1)
- 給与所得者の場合、雑損控除、医療費控除、寄附金控除は確定申告をしなければ所得控除を受けることができません。
- (注2)
- 配偶者控除と配偶者特別控除を重ねて受けることはできません。