―親なき後も安心して暮らすために―
知的障がい者、精神障がい者を支える成年後見制度の活用法
(法的権限で「親なき後問題」を支える)
障がい者家族が抱える「親なき後問題」の解決策として、成年後見制度が助けに
成年後見制度の支援対象者について、一般的には認知症の方のイメージが強く、高齢になってから利用する制度と思われがちですが、知的障がい者や精神障がい者(以下、障がい者)も支援対象となります。
厚生労働省資料「成年後見制度の現状(2022年8月)」によると、知的障がい者における64歳以下の割合は80%以上、精神障がい者でも60%以上となり、65歳以上がほとんどの認知症患者と比較すると、かなり若年層になります。
そのため、成年後見制度を利用する場合、長期の後見になることが予想されます。
また、認知症では「子どもが親の世話をする」というケースがほとんどですが、障がい者の場合の多くが「親が子どもの世話をする」という点も大きな違いです。
それに伴い障がい者の親の多くは、自分がいなくなった後、誰がどのように我が子を支えるのかという「親なき後問題」を抱えています。
住居の確保、消費者トラブルの回避、生活資金の管理など、我が子に関わるさまざまな不安を解決するためには、法的権限を使って支援してくれる援助者が必要であり、成年後見制度が大きな助けになると思われます。
例えば、預貯金の解約、福祉サービスの契約、遺産分割の協議などを行う際、本人の判断能力が不十分でこれらの行為を行うのが難しい状況にある場合は、本人にとって不利益な結果を招く恐れがあります。
また、障がい者は悪質業者のターゲットになりやすいなど、法的権限で保護し支える人が必要なのです。
- 本人とは:精神上の障がいなどにより判断能力が不十分で法律行為に関する意思決定が困難な方