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金融教育プログラム-社会の中で生きる力を育む授業とは-

(2023年10月改訂版)

1.金融教育のねらいと基本的性格

(4)多面的な取り組みの必要性

① 学校と家庭、地域・関係機関との連携の必要性(図表1参照)

図表1学校における金融教育推進のための各主体の関わり

ア.金融教育の核としての学校教育

前述した「生涯学習社会」にあって、金融教育は、あらゆる年代にわたり、例えば様々なライフイベントを迎えるタイミングなどを捉え、また各種SNSやwebサイト、セミナーなど様々なルートを通して行われるべきものであるが、金融教育の基礎を育む場として核となるのはやはり学校である。その第一の理由は、学校では教育の専門家により体系的に教育が行われるからである。教育の専門的な技術と児童生徒・保護者の信頼の下で、最も効果的・総合的に教育を行うことのできる場として学校教育は最適である。第二の理由は、学校は社会に出る前の全ての児童生徒が教育を受ける場であるからである。金融教育は、お金を適切に扱う知識や技能を知り、トラブルを未然に防止するとともに、合理的な選択と意欲をもって生きる力を養うものである。そうした教育は、全ての子供たちが社会に出る前に受けておくことが重要であり、そのために学校教育の果たす役割は大きい。

イ.家庭や地域・関係機関への説明と協力依頼

金融教育の次の担い手としては家庭が挙げられる。家事の手伝いをする、お金の使い方について一緒に考える、家の人の収入はどのように得られているのかを教える、家計の収入や支出について知る、自分の将来について話し合う、保護者の生き方や職業観を学ぶなど、家庭においては金融教育の題材をふんだんに見出すことができる。保護者はそうした場面を意識的に活用して、子供たちにどうお金と関わっていくべきかを考えさせることができる。また、学校において金融教育を進める上でも保護者が学校の方針を理解し、積極的に協力することが、金融教育を有効で実りあるものにするために極めて重要である。そのためには、学校側からも家庭との協働が進められるよう積極的な働きかけが必要である。

地域の協力も大切である。地域は子供たちが触れる最も身近な社会である。そこで子供たちは保護者や教師以外の様々な人と触れ合うことによって、生き方・価値観の多様性や社会の仕組み・働きを知る。また、学校において金融教育を進める上で、現実の経済活動をよく知っている地域の人たちが協力してくれることは、教育内容を実感をもって伝える上で大いに寄与する。さらに学校において職場体験等を実施する際には地域の協力は不可欠の条件となる。

金融教育を進める様々な機関や団体の協力も大きな力となる。特に金融というやや専門的な分野に関してはそうした専門家のサポートは子供たちの理解をより広げ、深めることに有用であるのはもちろん、現場の教師が自信をもって教えていく上で大きな支えとなる。

学習指導要領では、「社会に開かれた教育課程」の理念を掲げ、学校と家庭や地域社会との連携・協働を深めることが強調されているが、上記のとおり、金融教育は、こうした連携・協働の効果が高い教育領域であるといえる。

② 就学前教育機関、小学校、中学校、高等学校、大学等の間の連携の必要性

金融教育は、保育所・幼稚園・認定こども園における就学前教育の段階から、小・中・高等学校、そして大学、社会人教育まで、一連のつながりをもって取り組まれるべきものであるが、学校段階だけに限っても、小学校から高等学校まで児童生徒の発達の段階に応じて継続的かつ発展的に取り組まれることが必要である。本プログラムではそうした視点から継続性ある目標や学習指導の方法等の提示を試みたが、それをより有効に機能させるためには、保幼こ-小、小-中、中-高、高-大、高-社など学校段階を越えた連携も必要となろう。その点、小中一貫、中高一貫、小中高一貫などの取り組みが様々に展開されており、そうした学校での金融教育の取り組みが大いに参考になるだろう。また最近取り組みが増加している高大連携の中で金融教育を扱う余地もあると考えられる。

なお、本プログラムでは主として小学校から高等学校について論じているが、就学前教育についても、その後の成長に大きな影響を及ぼすものであるため、幼稚園等において、「ものやお金を大切にする」といった金融教育の本源的な概念を学ばせるとともに、これを小学校における金融教育につなげていく取り組みが期待される。

③ 歴史や世界に学ぶ必要性

上で述べた横軸(家庭や地域との連携)、縦軸(各学校段階間の連携)の視点に加え、過去や世界に学ぶことにも意味がある。日本には伝統的な金銭観がそれぞれの社会階層の中に様々なかたちで存在していた。既に廃れてしまったもの、いまも受け継がれているものなどいろいろであるが、それぞれの時代環境の中で、先人たちがどう生きてきたかを金銭との関わりの中で理解することは、現在の私たちが自分の価値観を磨く上で、さらには将来の社会を形成していく上で、大事な示唆を与えてくれる。同様に諸外国における歴史的な金銭観の推移や現在の人々の考え方を知ることも私たちにとって大いに参考になろう。広く歴史や世界に目を向けて、自分とお金との関わりを見つめることには、金融教育をより幅のあるもの、より深味のあるものにする効果がある。

図表1 学校における金融教育推進のための各主体のかかわり

「学校における金融教育推進のための各主体のかかわり」の図解。内容は本文のとおり。

1.金融教育のねらいと基本的性格の目次

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