大人のための お金と生活の知恵
Ⅰ お金と生活を「見える化」する
1.出発点〜今後の人生を描いてみる
まず、2つのことを、考えてみてください。
- いま、人生のどの時点にいるか?→今後の人生をどのようにしたいか?
- いま、お金はどれくらいあるか?→今後の見通しはどうか?
今後の人生を描いてみることが、「お金と生活の知恵」の第一歩です。
今後の人生の方向を描くことは、自分にしかできません。また、人生とお金の問題は切り離せません。
今後の人生についてよく考えてみること、お金の問題とも向き合うことが、より良い方向(より安心できる生活など)に向かう出発点となります。
2.ライフプランとお金を結びつける
次に、もう一歩、具体的に考えてみましょう。
- 今後の人生や生活に関する希望を書き出してみる。希望を実現するために、どの程度のお金が必要か、考えてみる。
例:老後も夫婦で趣味や旅行を楽しみ、月○万円くらいの支出を続けたい。
- お金に関する現在の状況を確認する(収入と支出、資産とローン)。また、今後について見通してみる。
例:いま資産が○万円ある。給与や年金は、今後、○万円程度もらえると思う。
例:年金と資産の取りくずしで、年間○万円の支出を、○歳まで続けられそう。
【参考】年金をまだ受給していない方は、「ねんきん定期便」等で受給額を確認しましょう。 - 上の2つを考えあわせ、今後の生活とお金について、「課題」を発見する。
金額は概算で十分です。大まかでも、把握すること(「見える化」すること)に意義があります。
3.見えてくる「課題」
「課題」を発見したら、書き出してみましょう(「見える化」しましょう)。計画や行動に結びつけやすくなります。以下のような課題が考えられます。
【課題の例】
- お金が足りなくなりそう。
- 今後の生活や支出を見直す必要がある。
- お金を増やしたい。運用のノウハウを知りたい。
- だまされないようにしたい。
- 次世代に貢献したい。
本書では、このような課題に向き合うときに、ヒントとなる知恵を紹介します。
- 例えば、お金が足りなくなりそうな場合、今後の生活や支出を見直しましょう。その手法を紹介します(Ⅱ)。
- お金を運用して増やそうとする前に、お金の管理や運用についての知識を身につけましょう。
お金に関する取引で、だまされないためのポイントも紹介します(Ⅲ)。 - 次世代への貢献などをお考えの方に、参考となる材料をお伝えします(Ⅳ)。
コラム1「収入を増やす」こと
「お金が足りなくなりそう」な場合の対策として、「収入を増やす」ことが考えられます。
高齢の方でも、健康や体力を維持し、なるべく長く働いて収入を得ることができれば、収支の改善に大きな効果があります。
ただし、定年後の勤労については価値観の違いが大きく、健康や体力も個人差が大きい問題です。このため、本書では省略します。