先生のための金融教育セミナー
2020年度 先生のための金融教育セミナー(オンライン開催)
D キャリア教育に関する分野
高等学校
「『シゴト』をつくる!?」
(3年 家庭科・公民科)
北海道札幌東陵高等学校 佐藤 豊記 教諭
北海道有朋高等学校 野尻 千裕 教諭
北海道札幌東陵高等学校では2017年から2年間にわたり金融教育研究校の委嘱を受け、家庭科と公民科の教科間連携を行ってきました。今回は家庭科の選択科目「フードデザイン」での実践事例をご紹介します。「フードデザイン」は調理や食生活に関する内容ではありますが、家庭科のどの分野においても、金融をはじめ経済活動との関わりは切り離すことができません。外部講師を招いての授業や公民科の授業との連携を取り入れて実践しました。
導入として、金融広報中央委員会の『これであなたもひとり立ち』を教材に、ひとり暮らしの生活費や求人票・給与明細の見方についての授業を行いました。給与明細の見方は1年次の家庭基礎でも学習済みですが、3年次ではより近い未来を想像してお金の動きを感じ取ることができたようです。
次に、外部講師を招き、金融や経済についての講義を受けた後、「好きなことを仕事にできるか」をテーマにグループワークを行いました。自分の好きなこと、やりたいことを考えたり、世の中にある職業を書き出したりする中で生まれたアイデアから一つを選び、「ビジネスモデル」、「この仕事を成功させるためのアイデア」、「この仕事に必要なもの」、「想定される利益」を話し合いました。また、CSR(企業の社会的責任)を取り上げた公民科との連携授業では、企業は利益を上げるだけの存在ではなく、社会的にも貢献する必要があることを学びました。こうした活動のまとめとして、最後にポスターセッションの形で各グループが考えた仕事のアイデアを発表しました。
家庭科と公民科の連携を通して、同じテーマでも違った視点から話を聞くことで、生徒は学習のつながりを意識し、より身近に物事を捉えることができたと思います。また、進路やその先の職業選択を見据える高校3年生にとって、この学習が様々な進路選択に繋がり、金銭管理の重要性を意識できるようになることを期待しています。
今後は、こうした金融教育の取り組みを、生徒が自身の生活の中で、見方・考え方を自在に働かせることができるような学びにつなげていくことが私たちの課題だと考えています。教科間連携のしやすい校内体制の整え方、生徒の視点に立った教材づくりも模索していきたいと思います。