先生のための金融教育セミナー
2020年度 先生のための金融教育セミナー(オンライン開催)
B 金融や経済の仕組みに関する分野
高等学校
「キャッシュレス決済について」
(3年 商業科・会計科)
佐賀県立唐津商業高等学校 吉原 恵美子 教諭
佐賀県立伊万里実業高等学校 田島 あゆみ 講師
本校では週2時間の課題研究の時間に金融教育を実施しました。1学期は消費者教育やライフプランについてのテーマを設定し、外部講師を招いて講義形式で学習しました。2学期からは調査研究という形式で学習を進めました。
2019年10月からの消費税増税について調べ学習を行い、増税に伴ってポイント還元を受けられることで注目されはじめたキャッシュレス決済について調査研究することにしました。実際に生徒が商店街やコンビニなどに出向き、アンケートを行い、調査した結果を班ごとにまとめてプレゼンテーション資料を作成しました。生徒がまとめた資料は、はじめは調べた結果を記載しただけのものでしたが、何度も修正を加えて、最終的にはしっかりとした発表ができるまでの資料になりました。
商店街におけるキャッシュレス決済の調査は、地元の商店街を比較するという形で行いました。同じような立地の商店街であるにも関わらず、一方の商店街はキャッシュレス決済の導入率が70%以上と高く、もう一方では約48%と導入率にかなりの差が見られました。なぜこのような差が出たのかを生徒に考えさせたところ、扱う商品の単価や購入者の年齢層の違いなどに気づいたようでした。また、コンビニエンスストア、スーパー、個人商店での調査を行い、業態別のキャッシュレス決済導入率を比較しました。
さらに、バーコード決済やクレジットカード、プリペイドカードなどキャッシュレス決済の種類やそれぞれの利用者の年代を調べたり、キャッシュレス決済を店舗が導入することのメリットとデメリットを考えるなどして、キャッシュレス決済についての理解を深めました。
最後に、今後キャッシュレス決済がより浸透していくためにはどのような工夫や仕組みが必要かを考えました。生徒からは「高齢者にとってもわかりやすい仕組みにする」、「利益率の低い個人商店での手数料負担を軽減する」、「クレジットカードのスキミングなどセキュリティ上の不安を解消する」などの意見が出ました。
今回の課題研究で色々な店舗に対して調査を行ったことで、生徒たちは利用者側の目線だけでなく、販売する側の事情やキャッシュレス決済が抱える問題点等についても気づくことができたと思います。