介護にまつわる基礎知識 ~介護保険、成年後見、福祉サービス~
介護保険制度のしくみ
介護保険の基本的なしくみと被保険者(加入者)
介護保険は、被保険者が保険料を納め、介護が必要と認定されたときから介護サービスを利用できる制度です。
介護保険の被保険者は、40歳以上の人で、さらに年齢によって第1号被保険者と第2号被保険者に分けられます。
- 第1号被保険者
- 65歳以上の人
- 第2号被保険者
- 40歳以上65歳未満の医療保険(健保組合、全国健康保険協会、市町村国保など)の加入者
第1号被保険者は、原因を問わず要支援・要介護状態になった場合、第2号被保険者は末期がんや関節リウマチ等の加齢による次の16種類の「特定疾病」により介護が必要になった場合に限り介護サービスを受けられます。
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介護費用の負担
介護サービスを利用した場合、利用者(被保険者)の自己負担は、原則1割です。残りの9割について、その50%を公費で、50%を第1号被保険者と第2号被保険者により支払われる保険料でまかないます。
介護保険料
介護保険料については、第1号被保険者と第2号被保険者の1人当たりの負担額が同じになるように、人口割合により3年毎に見直されます。2018~2020年度は、第1号被保険者と第2号被保険者の保険料負担割合は、それぞれ23%、27%となっています。
第1号被保険者の介護保険料
第1号被保険者の保険料は、上述の3年毎の見直しを受けて、市町村ごとに条例で決められた基準額をもとに、本人や世帯の所得などにより段階的に設定されています。標準の段階設定は9段階ですが、条例で弾力的に決めることができます(段階が多いほど負担能力に応じた保険料設定といえます)。
段階 | 対象者 | 保険料の 設定方法 |
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第1 | 生活保護受給者等 世帯全員が市町村民税非課税の老齢福祉年金受給者 世帯全員が市町村民税非課税かつ本人年金収入 +合計所得額80万円以下 |
基準額×0.3 |
第2 | 世帯全員が市町村税非課税かつ本人年金収入 +合計所得金額80万円以上120万円以下 |
基準額×0.5 |
第3 | 世帯全員が市町村民税非課税かつ本人年金収入 +合計所得金額120万円超 |
基準額×0.7 |
第4 | 本人が市町村民税非課税(世帯に課税者がいる)かつ、本人年金収入 +合計所得金額80万円以下 |
基準額×0.9 |
第5 | 本人が市町村民税非課税(世帯に課税者がいる)かつ本人年金 +合計所得金額80万円超 |
基準額×1 |
第6 | 市町村民税課税かつ合計所得金額120万円未満 | 基準額×1.2 |
第7 | 市町村民税課税かつ合計所得金額120万円以上190万円未満 | 基準額×1.3 |
第8 | 市町村民税課税かつ合計所得金額190万円以上290万円未満 | 基準額×1.5 |
第9 | 市町村民税課税かつ合計所得金額290万円以上 | 基準額×1.7 |
- 課税年金収入には、障害年金・遺族年金・老齢福祉年金は含まず。合計所得額は、扶養控除や医療費控除などの所得控除や前年以前に発生した繰越損失を控除する前の金額。
厚生労働省資料をもとに作成
介護保険料が市町村ごとに異なるのは、その市町村に介護保険を利用する人がどのくらいいるか、またどんなサービスの需要が多いかなどによって、市町村の介護サービスにかかる総費用が異なるためです。
第1期 | 第2期 | 第3期 | 第4期 | 第5期 | 第6期 | 第7期 | 予想 |
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2000年度~ | 2003年度~ | 2006年度~ | 2009年度~ | 2012年度~ | 2015年度~ | 2018年度~ | 2040年度 |
2,091円 | 3,293円 | 4,090円 | 4,160円 | 4,972円 | 5,514円 | 5,869円 | 約9,200円 |
厚生労働省資料をもとに作成
第2号被保険者の介護保険料
第2号被保険者の保険料は、加入する医療保険(健保組合、全国健康保険協会、市町村国保など)によって異なります。
- 職場の「健康保険」に加入している人
- 介護保険料は、医療保険ごとに設定されている介護保険料率と給与等で決まり、事業主と被保険者で半分ずつ負担します。例えば、協会けんぽの介護保険料率は毎年度見直しを行うこととなっており、2018年度については1.57%です。なお、40歳から65歳未満の被扶養者の介護保険料は、被保険者が支払う介護保険料でまかなわれるので、個別に介護保険料の負担はありません。
- 地域の「国民健康保険」に加入している人
市町村が保険者となる国民健康保険(以下、国保)の介護保険料は、国保加入者の所得や資産、人数などに応じて世帯単位で決まります。組み合わせ及び各項目の金額・割合(%)は、各市町村が決めます。
ところで、国保には扶養の概念がありません。したがって、世帯主が国保の加入者でなくても、世帯の中に40歳以上65歳未満の国保加入者がいれば、その人の介護保険料は世帯主が負担します。
- 医師、歯科医師、薬剤師、理容美容業、建設業などが加入する「国民健康保険組合」に加入している人
- 介護保険料は規約で決まります。
介護保険料の納付方法
第1号被保険者の介護保険料の納付方法
介護保険の保険料の納付方法は、年金額(老齢・遺族・障害年金を含む)により次のように異なります。
- 年金額が18万円以上の人
- 年金から天引き(特別徴収)されます。
- 年金額が18万円未満の人など
- 金融機関・コンビニエンスストア等での納付書払い・口座振替(普通徴収)で納付します。
なお、次の場合には、届いた納付書でのみ納付可能です。
- 年度の途中で65歳になった場合
- 年度の途中で市町村に転入した場合
- 年度の保険料段階区分が変更になった場合
- 4月1日時点で年金を受けていなかった場合
第2号被保険者の介護保険料の納付方法
加入する医療保険(健保組合、全国健康保険協会、市町村国保など)の保険料と合わせて保険者に納付します。