地震大国だからこそ「地震保険」で備える
地域と建物の構造で地震保険料は大きく違う
地震保険は国と民間が共同で運営しているため、保険会社間での補償内容、保険料の違いはありません。
しかし、加入者の条件によって支払う保険料は変わります。
その最も大きな要因は、住んでいる都道府県と建物の構造です。
地震が発生する確率は地域によって差がありますし、人口分布や建物の強度によっても、被害の程度が変わってくるためです。
例えば、リスクの低い北海道で耐震性に優れた「イ構造」(主として鉄骨・コンクリート造の建物)の家に住んでいる場合と、東京都で「ロ構造」(主として木造の建物)の家に住んでいる場合を比べると、後者が5倍以上も高くなります【図表2】(詳細はリンク先をご覧ください)。
このように差はあるにせよ、地震保険の保険料が家計の負担になるのは確かです。
(地震保険の付帯率)
近年、地震保険の付帯率は上昇傾向にあり、損害保険料率算出機構のデータによれば、2021年度に契約された火災保険のうち地震保険が付帯された割合は69.0%です。
ただし、世帯全体の地震保険の加入率は34.6%になります。賃貸住まいの人などが含まれていることのほかに、保険料の高さが、加入をためらう理由の1つとなっているようです。
(保険料の割引制度)
そこで上手に活用したいのが、保険料の割引制度です【図表3】。
建物が1981年6月以降に新築されたものであれば、「建築年割引」で10%の割引を受けられます。
建物の耐震性に応じて適用される割引制度もあり、特に「免震建築物割引」と「耐震等級割引」は、5割安くなります(後者は耐震等級3の場合)。
そのほか、地震保険料控除を活用して税負担を減らすという方法もあります。
(地震保険料の改定)
なお、2022年10月1日から地震保険の保険料が改定され、全国平均で従来より0.7%の値下げになりますが、条件によっては負担が増加する場合もあります。
【図表2】の改定前保険料と改定後保険料を比較すると、大分県でロ構造なら5割近く安くなりますが、茨城県や埼玉県でイ構造だと3割ほど高くなります。
また、今回の改定で、長期契約(期間5年のみ)の保険料割引率が下がることにも注意が必要です。
これから加入を検討している人は、改定で保険料がどう変わるのかも必ず確認しましょう。