金融商品なんでも百科
(平成27・28年用)
金融機関破綻時の金融商品の保護について
金融商品保護と自己責任
実は、このような預金者、投資者の保護においては、従来は特例として保護の限度額を設けず、全額が保護されてきました。しかし、これまでみてきたとおり、現在は、必ずしも全額が保護されません。どうしてでしょうか。
全額を保護するには、非常に多くの資金が必要です。その資金は、金融機関とその顧客が多くを負担しているほか、国民全体の負担である公的資金が使われてきました。金融機関とは縁のない人(顧客以外の人)も、金融機関の顧客を助けているということになります。
一方で、全額保護をあてにして、顧客を集めるために実現不可能な高利回りや低料金のサービスを提示する金融機関や、その金融機関が無理していることを知りつつ資金を運用する顧客が現れる(これらの状況を「モラルハザード」といいます)という指摘もあります。労力をかけて健全な金融機関を選んだ顧客や金融機関と縁のない国民が悪質な金融機関や顧客まで助ける必要はないはずです。
金融商品の保護に限度額が設けられるということは、自分の選んだ金融機関の破綻に対して、自分が預けていた金額と保護の限度額の差額という直接的な負担が求められるということです。現在は、自分の選択の結果に責任を持つ、すなわち「自己責任」の時代なのです。