金融広報中央委員会創立70周年記念対談
18歳成年に必要な金融知識
俳優 鈴木梨央×金融広報中央委員会委員 日本銀行副総裁 若田部昌澄
20歳から18歳へ 成年年齢引下げで変わったことは
司会 梨央さんは、成人になると何ができるようになるかご存知ですか?
鈴木 医師免許や司法書士などの国家資格が取れるようになったり、あとは10年有効のパスポートが取れるようになるのが自分のなかではすごく嬉しいなと思います。私は海外でもいつかお仕事をしてみたいという夢があるので、夢が広がると思いました。
司会 若田部さんは、カナダのトロント大学経済学大学院に留学され、ケンブリッジ大学やコロンビア大学で特別研究員をされています。海外経験で得たものや、これから海外に出ていこうとしている若い人に、何かアドバイスはありますでしょうか?
若田部 海外に行って、私は本当によかったと思っています。一番よかったのが、海外で友人ができたことです。そこで得た友人というのは今でも人生の宝です。また、海外に行くと、日本の良い所と悪い所、海外のそれぞれの国の良い所と悪い所というのがよくわかります。それと、若い人たちには、現地の言葉を学ぶというよりは、その言葉を通じて何かほかのことを学んでほしいと思います。たとえば梨央さんの場合だったら演劇や、海外でのエンターテイメントビジネスの構造などを英語で学ぶ。これが一番いいと思いますよ。
鈴木 私自身、今まで英語を勉強することばかり考えていたんですが、英語で何かを勉強するという発想は浮かびませんでした。英語で演劇を学ぶと考えると、海外に行ってみたいという思いが高まりますね。今後はドキュメンタリー的なリアルなお芝居だったり、求められることをすぐに英語でも体現できるように、学んでいけたらと思いました。
司会 成人になるにあたって、何か不安はありますか?
鈴木 未成年者取消権が適用されなくなるとか、今まで親や家族に守られてきたことが、今後は自分の責任で行動していかなければならないという不安はすごく大きくて。トラブルに巻き込まれてしまうことで、個人信用情報機関にその記録が残って、将来ローンが組めなくなってしまったり、多重債務によって雪だるま式に借金が増えてしまうとか、ドラマの中の世界で見たり、聞いたりしていたことが本当に現実に多いんだと知ったときは、改めて自分自身も気を付けなければ、と実感しました。
若田部さんにお聞きしたいのですけれども、今後、消費者トラブルに巻き込まれないようにするにはどんな注意をするべきなのかぜひ、教えてください。
若田部 契約にもリテラシーが必要です。口頭で「買います」と言っても、契約になるので、そのことをまず頭に入れておいてください。あとは、急いで買わないほうがいいですね。「今、サインしてください」「今、買ってください」という人が来たら、これは怪しいと思ったほうがいいですね。儲け話にすぐに飛びつくようなことはしないで、冷静になることが大事です。それと、万が一トラブルにあっても、全国に相談窓口はたくさんあります。あとは身近な人に相談すること。そのために、日ごろから信頼できる助言を得られる人を知っておくことが大事です。