金融広報中央委員会創立70周年記念対談
18歳成年に必要な金融知識
俳優 鈴木梨央×金融広報中央委員会委員 日本銀行副総裁 若田部昌澄
人生100年時代に必要な金融知識 eラーニング講座「マネビタ」
司会 コロナ禍で、デジタル化の流れが加速しましたが、特に教育現場ではデジタル技術を活用した教育活動が進んでいます。梨央さんの学校生活はどんな感じですか?
鈴木 オンライン授業のほか、パソコンを使って動画編集をしたり、企画書を作ったり。小学校や中学校のころに比べて、ペンや紙を使って勉強する機会が少なくなりました。
若田部 金融広報中央委員会は、SNSやホームページを通じて情報を発信しています。コロナ禍前は、対面でいろいろなイベントや講演会、セミナーを開催していたのですが、今はオンラインでも行っています。
それと、何といっても、2021年11月にeラーニングの金融教育教材「マネビタ」ができました。
司会 「マネビタ」とは、マネーとビタミンの意味なんですよね。
若田部 そうです。「身体にとって必要不可欠なビタミンを食物から摂り込むように、人生に必要不可欠なお金の知恵をこの講座から摂り込んでほしい」との願いが込められています。
司会 「マネビタ」の特徴を教えていただけますか。
若田部 「マネビタ」は、金融広報中央委員会だけではなくて、金融経済教育に関係する官庁や団体と一緒に作りました。コンテンツの内容には自信を持っています。「生活設計」、「資産運用」、さらには「消費者トラブル」に至るまで、それぞれ10分から15分で簡単に理解できるコンテンツです。動画であるというのも特徴の一つで、スマートフォンにも対応していますので、隙間時間でどこにいても勉強することができます。人生100年時代を過ごすうえで、最低限必要なお金の知識がこの「マネビタ」を見ることで獲得できます。学生でも社会人でも、誰でも無料で受講可能です。
司会 梨央さんも受講されたそうですが、いかがでしたか?
鈴木 初めは金融教育とか金融リテラシーという言葉が、ちょっと聞き慣れないし、少し難しい感じがして正直なかなか踏み出せなかったんです。でも、一つの動画が10分から15分くらいだったので、思ったよりもあっという間に見ることができました。一番興味深かったのはローンの話です。成年年齢引き下げによって、ローンも親の同意なく組めるようになったり、自分がもし欲しい車を買うとしたら、どうやってローンを組むのか、身近に考えることができました。金利によって支払額が大きく変わることなど今まで考えたことがなかったので、無理のない返済計画をたてたり、複数の見積もりを取ることが必要なんだと実感しています。
今は現金を使わずにカードやスマートフォンで支払ったりする時代になっていて、電子マネーやキャッシュレス決済にはメリットもいくつかあると思うのですが、一方で気を付けるべきポイントはありますか?
若田部 自分がどれくらい使ったかが見えにくいですよね。もちろんキャッシュレスはすごく便利だし、これからも使う人は増えていくと思うのですが、収入を超えて使ってしまうという危険性もありますので、上限の額を自分で設定し、スマートフォンなどで利用状況を確認する。そういうことには気を付けたほうがいいと思います。