先生のための金融教育セミナー
2020年度 先生のための金融教育セミナー(オンライン開催)
D キャリア教育に関する分野
小学校
「なぜマイタケなのか?」
(4年 総合的な学習の時間)
岐阜県養老町立日吉小学校 田中 晃弘 教諭
本校は岐阜県の南西部に位置する養老町にあり、自然に恵まれた環境です。校区内には、古墳群が発掘された象鼻山があります。本校では以前から総合的な学習の時間でふるさと学習を行ってきました。そうした中、2017年から2年間、金銭教育研究校の委嘱を受けました。
金銭教育には4つの分野がありますが、特にキャリア教育に関する分野は、本校のふるさと学習の考えと合致するものでした。金銭教育には目標を達成するための3つの視点「知る」、「考える」、「行動する」があります。これらを通して本校の研究を見直すことで金融教育の研究主題に迫ることができると考え、研究主題を「ふるさと『ひよし』に誇りと愛着をもてる子を育てる~ひよしの宝『ひと』『もの』『こと』と関わることを通して~」に設定しました。
具体的には、年間指導計画を3つのパートに分けて学習しました。第1パートは、象鼻山の保護とマイタケ栽培を題材にした環境問題・リサイクル活動の学習です。地域の方が行っている活動を知り、実際に自分たちでマイタケを栽培することで、地域の方の思いを実感しました。第2パートは、自分たちでリサイクル活動を計画・実践し、収益金を校内の美化や環境整備に充てる活動です。第1パートでの学びを基に、自分たちでできることを考えて実行しました。第3パートは、学習発表会です。自分たちが学んだことを全校に向けて発信し、環境や資源を守ることの大切さを伝えました。
この実践の成果は4つあります。1つめは、ふるさと教育を通して、地域の方の思いに触れながら地域の魅力を学ぶことができたこと。2つめは、金銭教育におけるキャリア教育に関する分野と関連づけたことで、狙いと手立てをより明確にできたこと。3つめは、学習形態を工夫したことで、仲間との関わりの中で考えを深めることができたこと。4つめは、子どもたちが地域に貢献できたことを実感し、自己有用感を高めることができたことです。
今後の課題としては、生活科および総合的な学習の時間での学びを段階的に高めていくために、学年間の学びの系統性を明らかにしていく必要があることと、各教科に応じた見方・考え方を総合的に活用するために、さらにカリキュラム・マネジメントを推進していく必要があることが挙げられます。