先生のための金融教育セミナー
2020年度 先生のための金融教育セミナー(オンライン開催)
A 生活設計・家計管理に関する分野
小学校
「わたしを支えてくれたもの~お金の大切さを知り、これからの生活に活かす~」
(4年 学級活動)
山梨県中央市立玉穂南小学校 上矢 元気 教諭
2018年から2年間、金融教育研究校の委嘱を受けて行った実践をご紹介します。本校の教育目標は「個性豊かで、心身ともにたくましく生きる子どもの育成」です。それを基に、研究主題を「生き生きと学び合う子どもの育成~自分の考えを深め、判断するための工夫を通して~」として、全学年において教育課程の洗い出しを行い、教科の目標と金融教育の目標の両方を達成できるよう指導内容を考えました。
1年目は金融教育について幅広く研究を進め、既存の教科と金融教育を関連付けて考えることができました。2年目は全校児童対象の「お金に関するアンケート」の結果を踏まえ、他者との意見の交流から考えを深めること、情報を整理し、明確化して判断につなげることを意識して、総合的な学習の時間と絡めながら学級活動として授業を行いました。
児童の生活実態として、給食の残菜や落とし物が多いことについて問題提起しているものの、自分のこととして捉えられないことが課題でした。そこで導入として、子どもたちに、これまでの10年間で自分たちが育つために使われた金額が約1,000万円であることを提示し、その金額の大きさに気づかせました。また、落とし物箱を見せて、どれだけの落とし物があるかを伝え、落とし物の金額分のお金を透明な貯金箱に入れて、無駄にしているお金の多さを視覚的に気づかせました。そして、今までの生活を振り返り、お金やものを大切にし、生活をより良くするためのアクションプランを立てました。子どもたちのなかにはお金には限りがあること、お金の希少性に気づいた子もいました。
実践の成果として、お金のありがたみだけでなく、保護者への感謝の気持ちを育成することができました。また、ものやお金には限りがあることを理解させ、大切にしたり、計画的に取り組んだりする態度を育成することもできました。一方で、お金に関する価値観は家庭によって異なることを意識する必要があること、導入で提示した1,000万円という金額が大きすぎて子どもたちにはイメージしづらかったことが課題です。金融教育は発達段階に応じて継続的に行うことが重要だと考えます。これからも成果をさらに発展させ、研究を積み重ねていきたいと思います。