先生のための金融教育セミナー
2020年度 先生のための金融教育セミナー(オンライン開催)
A 生活設計・家計管理に関する分野
小学校
「めざそう 買い物名人」
(5年 家庭科)
茨城県常陸太田市立幸久小学校 大倉 京子 教諭
5年生の家庭科で行った「めざそう 買い物名人」の実践をご紹介します。学級の児童の実態として、お小遣いをもらっている児童は10名中4名でした。どの児童もお金は大切なものという認識は持っていますが、必要なものは必要な時に買ってもらっている傾向にあり、計画的に金銭を使うという経験が少ない児童が見受けられます。そこで、「物や金銭の計画的な使い方と適切な買い物について課題を見つけ、その解決を目指して考えたり、自分なりに工夫したりすることができる」という点に重点を置いて金銭教育に取り組みました。
具体的な実践の内容は、ノートの買い物を想定して情報を集め、整理し、何を選ぶのかを決めるというものです。導入として、事前に家にある様々なマークを調べ、どんなマークがあったかをクラスで共有しました。「エコマークがノートについていた」「プラという文字があった」など、子どもたちは身近なものに様々なマークがついていることを理解しました。商品を選ぶ手がかりとして、マークや表示の意味を確認できるようにしました。次に、買い方の手順や買い物で気を付ける5つの意思決定の仕方を確認しました。
その後、実物のノート数種類を掲示し、ノートを選ぶためのワークシートを配付しました。子どもたちは実際にノートに触れながら、情報を整理して、値段、枚数、品質、環境、使いやすさなどの観点から、どのノートを選ぶかを決めました。さらに、一人一台タブレットを使って、なぜこのノートを選んだのかをまとめました。全体の話し合いでは、スクリーンに子どもたちがまとめた内容を掲示し、全体で共有しました。「3冊入って得だし、1冊分の値段が一番安かったから」「エコマークやグリーンマークがついていて、環境によさそうだから」といった理由が挙げられました。他の児童の考えを聞くことにより、選ぶ基準は人によって様々であることに気づくことができました。
この実践を通して、子どもたちは環境に目を向けることができました。長所と短所を照らし合わせてノートを選択することができました。ICTを活用したことで、話し合いが深まり、色々な買い物の仕方があることにも気づきました。課題としては、全体の話し合いの時間が十分に取れなかったことや、なかなかノートを選べない児童への具体的な支援の手立てを検討する必要があることが挙げられます。今後も、たくましく心豊かに生きていく児童の育成のために、全職員で取り組んでいきたいと考えています。