金融商品なんでも百科
(平成30年4月)
公社債
国債
特徴
国が発行する債券です。債券の中で最も信用度が高く、流通量も多いため、換金性にも優れており、安心して投資できるのが特徴です。
種類
国債の区分は、利払い方式によって、利付国債と割引国債に分けられます。また、新たに発行される新発債と、既に発行され、市場で取引されている既発債の区分もあります。
国債を購入する場合
国債を購入するときには、購入を申込む金融機関に口座を開設します(既に口座がある場合は不要)。この口座が、元利金の振込口座になります。
管理
「社債等の振替に関する法律」により、平成15年1月から国債はペーパーレス化されたため、新たに国債を保有する場合、金融機関などに口座(振替決済口座)を開設し、口座への記帳というかたちで管理します。平成15年1月より前に発行された国債については、保有者の同意があるものはペーパーレスになります。
換金
国債を換金するときには、市場で売却する必要があります。市場価格は、買取りを行う金融機関が金融商品取引所における前日の終値や日本証券業協会が日々発表している「公社債店頭売買参考統計値」などを基準にして独自の判断で決めています。売却時の市場価格によっては、購入時よりも価格が高くなって売却益が得られることもあれば、低くなって売却損を被ることもあります。
取扱い金融機関
銀行、証券会社、信用金庫などの各種金融機関および郵便局、農協で取扱っています。ただし、国債の種類や期間によっては、取扱っていない場合もありますので、各金融機関へ直接お問合わせください。
利付国債
購入後、定期的に利子を受け取るタイプです。
発行期間
発行期間(償還期間、満期)によって、中期国債、長期国債、超長期国債などがあり、2年から40年までさまざまな期間で発行されています。新発債は、期間の種類ごとに発行されるタイミングが異なっています。
募集・販売期間
新発債は、発行の都度、価格・利率などの発行条件が変わってきます。
購入価格、利回り
既発債の購入価格は時価によるため、原則として毎日価格が変動します。また、取扱い金融機関によっても異なります。
利付国債は、毎期受け取れる利子の金額は決まっていますが、購入価格によって、利回りが変化します。
購入単位
額面5万円単位です。購入金額は、額面金額に販売単価を掛けた金額になります。
利払い
年2回支払われ、指定した振込口座に自動入金されます。
店頭で、新発債を募集しているときの説明〈例〉
国債の利回り計算の具体例
国債の発行時点の年利回りは、応募者利回りといいます。具体例を使って、応募者利回りを具体的に計算してみます。期間2年、額面100万円、表面利率0.1%の国債を100.09万円(発行価格)で購入した場合の応募者利回りは何%になるでしょうか。
この国債を保有したときには、毎年1,000円の利子を受取ります。このほか、満期時の額面100万円が受取れますから、額面金額−購入価格=償還差損△900円となります。1年あたりの償還差損は、償還差損を期間で割って△450円となります。この国債で資金を運用する収益は、年間受取利子+1年当たり償還差損(差益)に相当する550円(=1,000円−450円)となります。この収益を得るために投じた資金は、購入価格の1,000,900円ですから、収益率は550円/1,000,900円×100=約0.055%です。これが応募者利回りです。
なお、利子に対して20%*の税金がかかりますから、税引後利回りは、税引後利息と償還差損の合計を発行価格で割ります。
1年間の利子=100万円×0.1%=1,000円・・・(1)
1年当たりの償還差損=(100万円−100.09万円)÷2年=△450円・・・(2)
応募者利回り=1年当たりの収益((1)+(2))/発行価格×100
=1,000円-450円/1,000,900円×100≒0.055%
税引後利回り=1,000円×0.8-450円/1,000,900円×100≒0.035%
また、流通している国債を購入して、満期まで保有した場合の利回りを計算したものを最終利回りといいます。最終利回りを計算するときは、発行価格を流通価格に置換えれば算出できます。
*復興特別所得税は考慮していません
個人向け国債
個人向け国債は、一般の国債と異なり、次の特徴があります。
中途換金で元本保証
一般の国債は中途換金すると、金利上昇時には元本割れするリスクがありますが、個人向け国債は、中途換金でも国が元本を保証します。
購入単位は1万円
一般の国債は5万円ですが、個人向け国債は購入しやすいように1万円単位となっています。
最低金利保証
実勢金利がどんなに下がったとしても0.05%の最低金利保証があります。
個人向け国債は、種類が3つあります。
なお、金融機関によっては、保護預り手数料がかかる場合があります。
変動金利型(10年)
満期
変動金利型は10年満期で毎月発行されます。
特徴
変動金利なので、長期金利の上下によって半年に一度支払われる利子は増減します。適用利率(年率)は、半年ごとに以下の算式で決められます。
適用利率(年率)=10年固定利付き国債の実勢金利×0.66
最低金利保証
算出された値が0.05%未満の場合には、最低金利保証で0.05%が適用利率となります。
<留意事項>
中途換金
1年保有後は1万円単位で中途換金できます。中途換金の際は、国が額面で買取るため元本が保証されています。ただし、その際に国が買取る金額は、以下の算式で算出されます。
額面金額+経過利子相当額−直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685
固定金利型(5年)
満期
固定金利型は5年満期で毎月発行されます。固定金利で、適用利率は5年固定利付債の金利水準をもとに以下の算式で決められます。
適用利率(年率)=5年固定利付き国債の実勢金利-0.05%
なお、この適用利率にも0.05%の最低金利保証があります。
<留意事項>
中途換金
1年保有後は1万円単位で中途換金できます。中途換金の際は、国が額面で買取るため元本が保証されています。ただし、その際に国が買取る金額は、以下の算式で算出されます。
額面金額+経過利子相当額−2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685
固定金利型(3年)
満期
固定金利型は3年満期で毎月発行されます。固定金利で適用利率は残存期間3年の5年固定利付き国債の金利水準を基に以下の算式で決められます。
適用利率(年率)=残存3年の5年固定利付き国債の実勢金利-0.03%
なお、この適用利率にも0.05%の最低金利保証があります。
<留意事項>
中途換金
1年保有後は1万円単位で中途換金できます。中途換金の際は、国が額面で買取るため元本が保証されています。ただし、その際に国が買取る金額は、以下の算式で算出されます。
額面金額+経過利子相当額-2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685
新窓販国債
特徴
満期は2年、5年、10年の固定金利です。発行は毎月行われており、多くの金融機関で、募集期間中同じ条件で購入することができます。適用利率は満期まで変わらず、半年ごとに利子が支払われます。
<留意事項>
中途換金
個人向け国債とは異なり、満期を待たずに換金するには、市場価格で売却することになるため、元本割れする可能性があります。
物価連動国債
平成28年1月以降に満期を迎える物価連動国債については、平成27年1月より、個人等による保有も可能となっています。