Let'sチョイ読み!お金の知恵の活かし方
もしも、お金を借りることになったら・・・
初心者向け
- 家計管理
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- 良い借金と悪い借金
- 借金体質
- 貯蓄体質
お金を「借りる」ってどういうこと?
私たちは、さまざまな物やサービスを手に入れる(=消費をする)ことで日々の生活を送っています。そのために必要なものがお金です。
通常は、働いて得た収入の範囲で消費生活を送り、大きめの支出については「貯めて買う」ことが家計管理上の理想です。しかし、高額な支出などに関してはそうもいかないことがあります。「今」どうしてもお金が必要なときは「借りる」という手段を利用せざるを得ない場合もあります。
お金を借りて消費をすれば、当然ながらお金を返さなくてはいけません。通常の消費の流れが、<働く⇒貯める⇒使う>であるのに対し、借りて使う場合は、<借りる⇒使う⇒働く⇒返す>という流れに変わります。借りることの対価として金利等もかかります。
「貯蓄」は“未来の自分への仕送り”などといわれますが、「借金」は往々にして、“未来の自分へのツケ回し”になりがちです。若いうちに、未来の自分に投資するための借金もあり、借金がすべて悪いものということではありませんが、未来の自分に負担をかけすぎないことが大事です。
「良い借金」と「悪い借金」
家計管理面から考えれば、借金はできるだけしないにこしたことはありませんが、例えば、住宅購入や奨学金など、有効活用できる資産の形成や未来につながる自己投資については、いま手もとにある資金だけでは実現できない価値を、借金を通じて可能とするものであり、総じて「良い借金」といえます。
では、どのような借金が「悪い借金」なのでしょうか。整理をすると次のようなものが挙げられます。
- 生活費を補うための借金
- 生活を圧迫する借金
- 借金を返すための借金
いずれも、未来の自分へのツケが膨らむことになりかねません。こうした状態に陥らないようにすることが大事です。
もちろん、「良い借金」に該当するものでも、身の丈を超えて借りすぎると、生活を圧迫し、借金を返すための借金につながるなど、「悪い借金」になりかねません。返済の目処が立つ範囲内であることも「良い借金」の条件です。
20代シングルの借金事情
実際のデータで見てみましょう。「家計の金融行動に関する世論調査(2018年)」によると、20歳代の単身(シングル)世帯で「借入金(借金)がある」と回答したのは18.2%。借入額は平均258万円、中央値100万円です(中央値=借入額を少ない順から並べて中位(真ん中)に位置する人の借入額)。
借入金(借金)の目的は下表の通り。「その他」がダントツで、「日常生活費」、「旅行・レジャー資金」、「耐久消費財の購入」と続きます。「その他」の中身は不明ですが、趣味的な物への支出などと考えられます。
借金の事情はそれぞれなので、一概には言えませんが、この表の項目で「悪い借金」に該当する可能性が高そうなものに★マークを付けてみました。
生活費は収入の範囲に収めることが大事ですし、旅行・レジャーや趣味は貯めた余裕資金の範囲で支出するほうが安全です。借金をして投資するのは、かなり危険な行為です。本当にリスクとリターンが見合った投資をしているのか、仮に見合っていても、それでも「損」が出ることもあるのが投資です。その場合に借金の返済はできるでしょうか。人から聞いた「おいしい話」や真偽が不明なネット情報だけに頼っていないかなどもよくよく考えて対応していただきたいポイントです。
目的 | 割合 | |
---|---|---|
日常の生活費 | 37.3% | ★ |
旅行・レジャー資金 | 15.3% | ★ |
耐久消費財の購入 | 12.7% | |
住宅取得・増改築資金 | 6.8% | |
投資資金 | 5.0% | ★ |
医療費等 | 3.4% | |
結婚資金等 | 2.5% | |
その他 | 46.6% | ★ |
(「家計の金融行動に関する世論調査(2018年)」)
借金体質からの脱却を!
家具や家電の購入費、旅行・レジャー費をクレジットカードで支払うのは非常に便利なのですが、これも広い意味では「借金」です。使いすぎには注意しましょう。特に分割払いやリボ払いは金利負担も発生します。車やバイクをローンで購入したり、あるいは生活費が足りない分をキャッシングで補う…。最初は「ほんのちょっと」のつもりで借りても、毎月の返済額が増えれば、じわじわと家計を圧迫していきます。
返済できているから大丈夫、と思っている人も要注意です。返しているだけでは、いつまで経っても貯蓄ができず、本来の<働く⇒貯める⇒使う>の流れに戻れません。
もしも今、「悪い借金」をしているという自覚がある人は、深刻な状態になる前に、次の3ステップで、借金体質から脱却し、正常な家計に修正していきましょう。
ステップ1・新たな借金をしない
まずは支出を必ず収入の範囲内におさめて家計を黒字にし、新たな借金を増やさないことを死守します。支出の中で抑えられるものはないか、見直しを行いましょう。借金の返済をしながら黒字にするのは大変かもしれませんが、これがスタートラインです。
ステップ2・今の借金を返し終える
ステップ1の支出の見直しをした上で、黒字分の(=家計が赤字にならない)金額も今の借金返済にまわします。返し終えるまでは、旅行・レジャーや趣味なども少し我慢しましょう。
ステップ3・貯蓄体質になる!
借金が完済できても、まだゴールではありません。これまで借金の返済に充てていた黒字分は貯蓄にまわすことができます。「生活予備費」として、常時、生活費3か月分の貯蓄を置きましょう。これによって、自身や家族の病気や収入減など突発的な事態が起きても耐えられる家計になります。また、旅行・レジャーや趣味などもできるだけ「貯めて使う」体質に変えていきましょう。
家計管理はスタートがとても大事です。収入が低い時期や不安定な時期であっても、できるだけ借金を避けるようにしましょう。「悪い借金」は小さなうちに解消し、未来の自分に仕送りできるような貯蓄体質に変えていきましょう。
執筆者:豊田眞弓