Let'sチョイ読み!お金の知恵の活かし方
「ご利用は計画的に」ってどういうこと!?
初心者向け
- ローン・クレジット
タグ(キーワード)
- クレジットカード
- 消費者ローン
- 金利
クレジットカードと消費者ローン
皆さんに注意してほしいのが、クレジットカードや消費者ローンなどとの付き合い方です。
クレジットカードの使用も借金をすることと同じ
クレジットカードは、ショッピング(買い物)とキャッシング(現金の引出し)の2つの機能を備えていますが、「お金を借りている」という点では共通です。ショッピングの場合、上手に使えば金利はかかりませんが、キャッシングの場合は金利がかかります。クレジットカードのキャッシングの金利、消費者ローンの金利(借入額10万円以上100万円未満の場合)は、ともに法律の上限金利にあたる年18%に近いケースがあります。借金が4年間で2倍になる水準です。
クレジットカードは支払い回数に注意
クレジット会社と契約を結んだうえで、ショッピングをカードで決済すると、後日、預金口座から代金が引き落とされます。急な出費で持ち合わせがないときや、海外旅行の際に現金を持ち歩く必要がないなど、とても便利なツールです。1回払い、2回払い、ボーナス払いであれば金利はかかりません。こうした使い方に徹して、ポイントを貯めてオトクに活用している人もいるでしょう。
しかしながら、3回以上の分割払いや「リボ払い」は年15%、キャッシングは年18%の金利がかかります。特に、高額な買い物をしても、毎月の返済額を少額に抑えられる「リボ払い」は、管理が複雑で、いつのまにか借入額が増えてしまうので気を付けましょう。
支払方法 | 利息(金利) |
---|---|
1回払い、2回払い、ボーナス一括払い | なし |
分割払い、リボ払い | 年15% |
キャッシング | 年18% |
消費者ローン
無担保で利用できて審査も簡単、早ければ1時間程度の手続きで借りられる手軽さの一方で、「利息制限法」の上限金利でもある、年18%など高い金利で貸し出されることが多いローンです。
最近では、大手銀行と提携している消費者ローンもあり、メディアでの宣伝効果もあって、身近な印象さえありますが、利用を誤ると、家計への影響が大きくなる可能性が高いものです。
借入額 | 金利の上限 |
---|---|
10万円未満 | 年20% |
10万円以上、100万円未満 | 年18% |
100万円以上 | 年15% |
一歩間違うと多重債務!?
お金を借りたら元金と金利を返済しなくてはなりません。しかし、借りすぎてしまうと働いて得た収入では返済しきれなくなり、一歩間違うと、雪だるま式に複数の業者から借金返済のために借金をする「多重債務」状態に陥ってしまうこともあります。
ちなみに、多重債務に陥る原因には次のようなものがあります。
- 失業や収入減
- 身の丈を超えた無計画な消費
- 住宅ローン等の返済のために別の先から借金すること
失業や収入減、あるいは身の丈を超えた消費や住宅取得などから、人生の歯車が狂って、こうした事態に陥ってしまうことは、決してひと事ではありません。失業や収入減になっても多重債務に陥らないようにするために、まずは生活費3~6か月分の生活予備費を貯めましょう。貯蓄体質にするとともに、お金の使い方(借金の仕方も含む)に計画性を持つことが大事です。
ただ、何かの理由でもともと借りていた借金(奨学金や住宅ローン、クレジットカード払い分など)の返済が苦しくなった場合は、まず家計の収支を見直してみましょう。
また、トラブル等に遭遇した場合には、「消費者ホットライン188(いやや!と覚えましょう)」に電話して、消費生活センターに相談しましょう。
「ちゃんと返せるか」が大事
借入れとは、先に消費をして、将来の収入からお金の返済をする行為です。消費をして満足感を得るのは“今の自分”。そのツケを払うのは“未来の自分”です。しかも、高金利の借入れの場合は金利負担も重くなります。
お金を借りるときは、“未来の自分”に重すぎる負担をかけることがないよう、借入額、金利、返済計画に無理がないか、自分が背負う将来のリスクを慎重に考えましょう。大事なのは、「いくら借りられるか」ではなく、「ちゃんと返せるか」です。
金利を15%(一定)とした場合の、借入額、支払回数と毎回の返済額、返済総額の関係を見てみましょう(表3)。例えば、どうしても手に入れたいものがあって、200,000円だったとします。12回の分割払いにすれば、初回18,620円、2回目以降18,000円の返済となり、支払総額は216,620円。月々の返済を少なくするために支払い回数を24回にすれば、毎月の返済額は軽減されるものの、より長く借りるため利息の支払は増えてしまい、支払総額は232,740円と16,120円も多くなってしまいます。
欲しいものがもっと高くて500,000円だったらどうでしょう。毎月の負担を減らすために36回払いを選んだとします。初回18,500円、2回目以降17,300円となり、「毎回の返済額は20,000円に達しないのでよかった」と安心するのは早計です。支払総額は624,000円となり、利息額(手数料)だけで、なんと124,000円にもなります。今、満足感を得るならば、ツケを“未来の自分”に廻すこととなりますが、「貯蓄をしてから使う」ことができれば、こうした利息負担は発生しないものです。つまり、支払う利息分がオトクになると考えることもできます。
借入額 | 金利 | 支払回数 | 返済額 (初回) |
返済額 (2回目以降) |
支払総額 (内利息額) |
---|---|---|---|---|---|
200,000円 | 15% | 12回 | 18,620円 | 18,000円 | 216,620円 (16,620円) |
24回 | 11,940円 | 9,600円 | 232,740円 (32,740円) |
||
500,000円 | 24回 | 25,250円 | 24,200円 | 581,850円 (81,850円) |
|
36回 | 18,500円 | 17,300円 | 624,000円 (124,000円) |
(一般社団法人日本クレジット協会サイトのシミュレーターで試算)
https://www.j-credit.or.jp/customer/basis/commission.html
「借りる」なら計画的に。事前に試算する習慣を!
ご自分の収入と比べ、大きな借金をする場合、「返済シミュレーション」で、将来にわたり、無理なく「ちゃんと返せるか」、予め試算してみましょう。分割払いやキャッシング、消費者ローンなど高金利での借入れの場合は、特に、この試算を念入りに行いたいものです。
その際、具体的な数字を見ながら、次の3点を点検してみてください。
- 毎月の返済に無理はないか?(=貯蓄をする余裕は残りますか?)
- 利息額を支払っても、借金で買いたいか?
- 返済期間中にほかの借金の可能性はないか?(住宅取得など)
一旦、お金を借りると、その返済は、固定費のように重くのしかかり家計は自由度を失っていきます。「貯蓄をしてから使う」貯蓄体質に家計を変えていくことが大事です。
執筆者:豊田眞弓