知っておきたい! 共働き夫婦のお金の話
~家計&財産管理、離婚時の財産分与~
(共働き世帯の家計管理の改善ポイント)
家計管理の改善ポイントは「家計の見える化」と「共同経営者としての意識」
お金がたまらない共働きの背景には、「不透明な家計×お互いのお金に対する無関心=無計画な浪費」という方程式があるように思います。この方程式を解消すべく家計管理の改善を行うことが、問題解決につながります。
家計管理の改善は、「家計の見える化」という行動と、「お互いが家庭の共同経営者」という意識の二つがポイントになります。
(ライフプランを立てる)
そのためにはまず、夫婦で協力してライフプランを立てることが必須です。
出産、子どもの教育、家や車の購入、老後の生活など、最初は大まかでよいので、これから起こり得るイベントについてお互いがどのように考え、どれくらいのお金が必要なのかを夫婦で共有し、同じ目的を持つことが大切です。
とくに、三大資金といわれる住宅購入資金、教育資金、老後資金は金額が大きいため、早めに準備と対策をしておく必要があります。
(マネープランを立てる)
ライフプランが立てられれば、それを実現するためのマネープランを立てることができます。ライフプラン実現のために毎月いくら貯蓄が必要か、自由に使えるお金(こづかい)はいくらなのか、貯蓄するお金が足りないならどの支出を減らすべきか、自分たちに合った家計管理はどのタイプか、夫婦で築いた資産(家など)の名義をどうするかといったことを、話し合って決めます。
そして、そのルールを守りながら家計管理を持続するために、夫婦がお互いのお金の流れや状況を確認できる「家計の見える化」を行うのです。金融機関のほか家計管理アプリでも、夫婦で同じ口座を閲覧できるなど、いろいろな「家計の見える化」のサービスを提供しているので、活用するのもよいでしょう。
(貯蓄を工夫して、「こづかい制」を導入する)
それ以外にも、家計管理の改善に効果的な工夫として、「天引き貯蓄」があげられます。給料が入ったら、最初に一定の金額を差し引いて貯蓄してしまうので、毎月自然にお金がたまっていく便利な仕組みなのですが、意外と利用していない夫婦が多いです。
また、教育費や旅行費など目的別に分けて貯蓄する「目的別貯蓄」もお勧めです。ライフプランの時間軸に合わせて、「今は老後資金を抑えて教育費に力を入れる」など、バランスよく貯蓄ができるメリットがあります。
そして、「こづかい制」の導入です。毎月自由に使えるお金に上限があることで、「不要なものは買わない」というコスト意識も磨け、出費を減らすことができます。ただ、共働きは「自分で稼いだお金」という意識が両者にあるため、とくにこづかいは注意を要します。
ランチ代や化粧品代はこづかいなのか、それとも生活費なのか、夫婦でも考え方が違うことが多く、自由に使える金額が少ないと不満が蓄積し、夫婦喧嘩の原因になることも少なくありません。
こづかいに何が含まれるのかをしっかり確認したうえで金額を決めるようにしましょう。そしてもう一つ大事なことは、金額を決めた後、お互いのこづかいの具体的な使い道には干渉しないことです。
いくら貯蓄が増えても、管理に縛られてストレスを感じる毎日を送っていては、健全な家計管理とは言えません。自由度に制限があるこづかい制だからこそ、適度な自由さが必要であると考えます。
相談事例で見る共働き家計の問題と対策
共働きの家計管理によるお金の問題の事例として、あるご家庭(Aさん一家)の相談内容と対策を紹介します。
相談内容
- 小学生の子どもがいる3人家族。年収は夫婦で約1,000万円。
- 家計管理は費用別分担タイプ。分担後の残りのお金は、夫婦各自が自由に使う。
- 夫はゴルフや交際費にお金をかけがち。妻はストレス解消のために、ネット通販を年間100万円以上利用。妻が転職で減収になったが、生活レベルを下げられずに毎月赤字傾向。
- 「相手の稼ぎがあるから大丈夫」、「貯蓄は相手がしているだろう」とお互いに考えていた。
- 子どもの小学校入学をきっかけに、お互いの貯蓄を確認すると、2人で300万円ほどとわかった。このままでは子どもの教育費が足りないかもと危惧し、相談に訪れた。
対策
Aさん一家の家計の特徴は、「不透明な家計、相手のお金に無関心、無計画な支出」の典型と言えます。
生活レベルを下げられないのも、共働きや高収入家庭によくあり、借金など問題を大きくしてしまう要因になります。
まず夫婦で、気づきのきっかけになった教育を中心にライフプランを話し合ってもらい、教育にかかる金額を認識してもらいました。今の家計や貯蓄では厳しいことを理解して、子どもが高校を卒業するまでに必要な教育資金を貯めることを、Aさん一家の家計管理の共通目的としました。
Aさん一家の家計管理の主な改善ポイントは以下になります。
- 管理方法を片方負担タイプに変更して、夫の収入で生活費を負担。妻の収入は、基本的に貯蓄にまわし、家族旅行など特別な支出はその貯蓄から出す。
- 夫の会社の財形貯蓄制度を活用して、教育資金を天引きでためる。
- こづかい制を導入。毎月の出費内容をお互いに伝えて、それに見合った金額を決定。
こうした家計管理の対策や工夫による行動と意識の変化で、Aさん一家の家計はかなり改善されました。ぜひ参考にしてほしいと思います。