知っておきたい! 共働き夫婦のお金の話
~家計&財産管理、離婚時の財産分与~
(共働き世帯の家計の特徴と傾向)
増え続ける共働き夫婦の家計の特徴と傾向
1990年代半ばに専業主婦世帯数を追い越した共働き世帯数は、今や専業主婦世帯の2倍以上となっており、現在の夫婦の生活スタイルの主流と言っても過言ではありません【図表1】脚注2。
共働き夫婦(以下、共働き)は、収入が2人分あることで片働き夫婦(近年では、夫婦の一方が家計を支えている家庭のことをこのように呼びます。本稿では以下、片働きと表現します)よりお金に余裕が生まれやすく、夫婦のどちらかに何かあっても収入がゼロにならないという特徴があります。
一方、支出内容が片働きに比べて複雑で、家計全体のお金の流れや貯蓄の現状を把握しづらいため、相手の収支を把握していない夫婦も多いようです。
また、「惣菜や冷凍食品などコストが高い商品にかたよりがちな食費をはじめ、外食費、被服費、理美容費、交際費などの支出が多い」、「家事をする時間がないため家事代行サービスなどを利用」、「旅行やイベント、教育にお金をかける」などの傾向が見受けられます。
このように出費がかさむ傾向にあっても、収入の余裕から財布の紐が緩みがちで、貯蓄ができていない家庭もあり、実際に多くの相談を受けます。また、家計分担に対する不公平感や、こづかいへの不満の声もよく聞きます。
三つのタイプに分類できる共働きの家計管理
共働き家計の管理方法はさまざまですが、これまで私が受けた相談内容から大きく分けると、
- 家賃は夫、食費は妻といった「費用別分担タイプ」、
- 家計専用の口座に各自が一定額を入金する「共有口座タイプ」、
- 夫婦どちらかの収入で生活する「片方負担タイプ」
※画面を横にするか、横にスクロールしてご覧ください。
特徴 | メリット | デメリット | |
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①費用別分担タイプ |
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②共有口座タイプ |
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③片方負担タイプ |
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一概には言えませんが、①の費用別分担タイプと②の共有口座タイプは、自分で稼いだお金という意識が強く、お互いのお金に干渉しない夫婦が多いように思います。③の片方負担タイプは比較的年齢が高く、収入の差が大きい夫婦に多く見られます。
家計管理は、各家庭の考えや事情があるので、どのタイプが正解ということはなく、自分たちの生活に適したタイプで行えばよいと思います。
しかし、①の費用別分担タイプと②の共有口座タイプでは、お互いのお金の使い道や貯蓄について把握していないケースが多いため、「貯蓄ができていない」という共働きの典型的な問題が起こりやすいと思われます。
このため、「貯蓄すること」を優先順位として高く考えるなら、③の片方負担タイプがお勧めです。夫婦どちらかの予期せぬ収入減などにも対応しやすいというメリットもあります。
ただ、生活費を負担する側が不公平に思ったり、生活費を出していない側も遠慮からストレスを感じるといった問題が起きやすいようです。
例えば、生活費を出していない側がレジャー費などの特別な支出を負担するなど、ある程度のバランスをとることでお互いの気持ちが楽になると思います。
大切なことは、各タイプのデメリットを理解しきちんと解消しておかないと、家計の問題も解決できないということです。しかも、デメリットの裏に潜む「家計や相手のお金に対する無関心」によって、家計の問題は表面化しづらく、借金や離婚など大きな問題へ発展する恐れもあります。
脚注
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- 「専業主婦世帯」の夫は農林業雇用者を含まない。「共働き世帯」は農林業雇用者を含まない。
(出所)独立行政法人労働政策研究・研修機構「専業主婦世帯と共働き世帯1980年~2020年」を基に作成
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/pdf/g0212.pdf