第3回「金融に関する消費者教育セミナー」(京都)
講演「学校教育における金融に関する消費者教育」
はじめに
皆さん、おはようございます。参会の皆様におかれましては、日ごろからそれぞれのお立場で金融に関する消費者教育にご尽力いただいておりますことに、心より敬意を表するところでございます。
また、本日はこういうセミナーにご一緒させていただく機会を頂戴し、大変嬉しく思っております。主催されました金融広報中央委員会、京都府金融広報委員会、京都府、近畿財務局京都財務事務所、そしてお世話くださっているすべての方々に心から御礼申し上げます。
さて、私は文部科学省の初等中等教育局に所属しております。平成13年の省庁改編の際、従来、小学校課、中学校課、高等学校課という学校段階ごとの編制だった組織が、機能ごとに教育課程課とか生徒指導等を担当する児童生徒課とかいうふうに分かれました。その教育課程課というところで、小・中・高等学校などについての教育課程の基準の設定や実施への指導・助言・援助といった仕事をしています。
本日お集まりの方々は、高校や中学校の先生方が多いようですが、授業実践についてはワークショップや明日の講座、パネルディスカッション等がありますので、ここでは、私の仕事である教育課程の基準の設定と、学校でその趣旨を生かして教育課程を編成・実施していただくこと、そして、金融に関する消費者教育が切り結ぶところについてお話をさせていただきたいと思っております。レジュメに基づいて、大きく3つのお話をさせていただきたいと思っております。
金融に関する消費者教育の重要性
いま私たちの周りには幅広い金融商品を含めて、多くの商品やサービスがあります。それらは実に多様で、高度になったり、便利になったりしているわけですけれども、われわれ大人だけではなくて、子どもたちもそういうものに生まれた時から取り巻かれて生活しているわけです。
私たちが子どもの時から比べてもずいぶん違います。小学生の時からお金もたくさん持って、消費者として扱われるようになっています。子どもにどれくらい自立して商品を選ぶ力があるかということと現実を考えますと、大変心配な面があるわけです。
社会にお願いしたいことも多々ございますけれども、私どもの所管の範囲で言えば、子どもたちにそういう社会で生きていく力をしっかり身につけてもらう必要があると思っております。
子どもたちが健全な価値観を培ってくれること、そして金銭の大切さとか金融に関する基本的な働きを理解することとか、消費生活にかかわる基本的な知識を身につけること、そういったことを通じて、自分で考えて、判断して、自分で決断して、責任を取っていける、そういう力を育てたいと思っております。
こうした教育は、基本的には最初は家庭を出発点として行われるわけであります。社会に出れば、今度は、生涯学習の中で社会教育も活用しながら自分でやっていくことになります。そして、その間にある学校においても、学校教育は組織的、計画的、継続的に行われるという性質を持っておりますので、その性質を踏まえて学校種別あるいは各教科等の特質に応じて積極的に推進していただくことが必要だと思っております。
そこで、1番目に、「生きる力」の育成について、それがどういうことなのかということを簡単にお話しさせていただいて、次に学習指導要領と金融に関する消費者教育というのはどういう関係になっているのかということ、そして3番目に、それを実践していただく上でどういうことが配慮事項として考えられるのかということについてお話を申し上げたいと思います。
なかなか各論にいかずに歯がゆいかもしれませんが、参考になるところがあれば参考にしていただきたいと思います。