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子どもにどう教えればいい?家庭で行う金融教育の基本

(幼児期~小学生の金融教育)

家庭での子どもの金融教育は成長や理解力に応じて段階的に

学校での金融教育に関しては、小学校は2020年度から、中学校は2021年度から、高等学校は2022年度から新しい学習指導要領が実施されており、金融教育の内容はより拡充されました。

とくに高校では、資産形成の視点にも触れながら、生涯を見通した経済計画の重要性について理解できるようにする、との内容が盛り込まれています。

一方、学校任せにすることなく、家庭で保護者が子どもに教えていくこともより大切になってきます。

3歳ごろから小学校の低学年くらいにかけては、おもちゃや物を大切にする、保護者や周囲の人への感謝の気持ちを持つ、約束を守るといった基本的な行動や態度を養うことが、金融教育の第一段階です。

なお、ここでは小学校低学年、中学年など年齢層毎に区切ってご紹介していきますが、子どもの成長や理解力に合わせて順次伝えていけばよいでしょう【図表2】。

【図表2】金融教育は成長や理解力に応じて段階的に行う
3歳~
基礎づくり
  • おもちゃや物、食べ物を大切にする
  • 買い物体験をする
  • お金で何ができるか大まかに理解する
  • お金や仕事に関する絵本を読む
3歳~のイメージ図
小学校入学~
知識・技術の習得
  • お金の流れを理解する
  • スマホの課金等のルールづくりをする
  • おこづかいを始める
    …金額や期間は徐々に拡大
    …使い道などはルール化
    …使う楽しさも知る
小学校入学~のイメージ図
中学校入学~
将来のことを考える
  • 親の仕事(収入源)について改めて話をする
  • 社会にはさまざまな職業があり、生活に密接に関わっていることを理解する
  • 社会やニュースに興味を持つ
  • 「夢」や「目標」を書き出してみる
中学校入学~イメージ図
(出所)
監修者作成

小学校低学年からはお金の流れを理解してもらう

第一段階での基礎づくりが終わったら、次は大まかなお金の流れを理解してもらいましょう。

子どもが現金に接する機会が減り、金銭感覚が希薄化する懸念についてお伝えしましたが、実際に、「お金はATMからいくらでも引き出せる」と思い込んでしまっている子どももいるようです。

また、店舗で親が買い物をしようとしたら、子どもが「お店で買うとお金が減るから、ネットで買ったほうがいいよ」と言ったという話もあります。

このように、小学校低学年から中学年の子どもは、裏側の仕組みにまで理解が及ばず、目の前で起きていることを鵜呑みにする傾向があります。

小学校に入ったころから、お金はどこから得られ、どう使われるのかなどの流れを、少しずつ話していくのが金融教育の次のステップといえます。

まずは、子どもと一緒に買い物をし、大人がお金を支払う場面を子どもが見る機会を増やすとよいでしょう。

それとともに、

  • 銀行にお金が入るまでの過程(親や保護者が働いた対価が給料である)
  • お金を支払うということの意味(ネットショッピングでもお金は減っている)
  • 現金とクレジットカードの違い

といった基本的なことを説明していくとよいでしょう。

その際、子ども向けのお金の絵本やアニメなどを活用するのも1つの方法です。

中には、「子どもには、あまりお金の話はしたくない」と無意識に思っている人がいるかもしれません。

しかし、お金の価値がわからないことが、後に大きなトラブルにつながる可能性もあります。

たとえば、子どもがスマホのアプリに数十万円単位で高額課金し、あとで請求を見た保護者が驚くといった例は少なくありません。

また、お金のトラブルを恐れて、子どもにスマホを持たせるのをためらう、お金を一切持たせないといった事例も耳にします。

しかし、気づかない内にキャッシュレス決済で少し使い過ぎてしまった、といった「小さな失敗」を、早い時期に子ども自らが経験することが、その後の金融行動の大きな糧となることもあります。

大人が子どもの失敗を過度に恐れず、少しずつお金の経験をさせていく勇気を持つことも大事です。

小学校中学年からは一定金額を管理させてみる

小学校中学年ごろになると、子どもたちだけで遊びに出かけたり、塾や習い事に行ったりするようになります。

友達との関係性が強くなり、趣味や遊びで影響を受けたり、友達の持っているものを自分も欲しがったりといった行動が目立ってくる時期でもあります。

だからこそ、「たとえ仲の良い友達同士でも、お金の貸し借りや、 おごったりおごられたりはNG」と伝えることが大切。

友達との関係が悪くなったり、相手のお金を当てにする癖がついてしまうことも考えられます。

また、この時期からおこづかいを渡し、子どもがお金を管理する能力を磨いていきましょう。

自分で使えるお金を手に入れて、お金を使うことの楽しさを学ぶのもよい経験ですが、ただ使うだけでは金銭感覚を養うことはできません。

この時期から、「使ってよいお金には限りがあること」を理解させていくことが大切です。

今、自分が買いたいと思っているものは本当に必要なものなのか、友達が持っているからという理由で、必要のないものを欲しがっているだけではないのか、といった「ニーズとウォンツ」の関係も教えていくとよいでしょう。

おこづかいで大切なのは、計画的にお金を使う方法を知ってもらうことです。そのためにおすすめしたいのは、「貯めるお金」、「使うお金」、「人のために使うお金」、「増やすお金」と、4つの貯金箱にお金を振り分けるという方法です【図表3】。

【図表3】「4つの貯金箱」でお金を管理する
貯めるお金 少ないおこづかいでもコツコツ貯めると大きな金額になります。将来のため、いざというときのため、大きな買い物をするためにも貯金をすることは大切です。
使うお金 お菓子や飲み物、おもちゃ、文房具など、自分の欲しいものや必要なものを買うお金です。やみくもに使うのではなく、「ニーズとウォンツ」を意識して使うようにしましょう。
人のために使うお金 社会は支え合いで成り立っています。自分も社会の一員であることを学ぶため、家族や友人へプレゼントをして日ごろの感謝を伝えたり、寄付や募金などにお金を回したりしてみましょう。
増やすお金 お金を預けたり投資に回すと、増やすことができます。お年玉などまとまったお金をもらったときに、保護者が一定期間預かり、利息を付けて子どもに戻す方法も、仕組みを理解するのに役立ちます。
(出所)
監修者作成

貯金箱はジャムの空き瓶などで手作りしたもので十分です。

おこづかいの一部を残して「貯めるお金」に振り分け、コツコツ貯めていけば1カ月のおこづかいでは買えないものも手に入れることができます。

本当に必要なものや欲しいものは、「使うお金」に振り分けて買うとよいでしょう。

「人のために使うお金」は、自分以外の誰かのためにお金を使うことの大切さを学ぶことにつながります。

「増やすお金」については、お金は増やすこともできるということを教え、本人が興味を持てば、保護者の協力のもと利息を付けて渡してあげるとよいでしょう。

このように振り分けて使うことは、大人になってからもお金の管理に活かすことができます。

また、おこづかいを渡す際には、お金をどう使う予定か子どもと話し合い、おこづかい帳を使って記録し、月末に振り返りを行うと、管理能力が身につきやすくなるでしょう。

おこづかいの渡し方については、毎月一定額を渡す定額制、手伝いをしたときに渡す報酬制、両方をミックスにするといった方法がありますが、家庭の方針に沿って選べばよいでしょう。

おこづかいではなく都度お金を渡す場合は、「半年に渡せるお金は〇〇円まで」など、限度額を設けて本人に管理してもらうのもよいでしょう。

おこづかいの管理がある程度身につくまでは、増減を目で確認できる現金で渡すほうがおすすめです。

キャッシュレスで渡す場合は、現金をチャージするところを子どもに見せ、その後は定期的に残高などを確認するようにしましょう。

QRコード決済であれば、基本的に残高や利用履歴はいつでも確認できますし、電子マネーの残高や利用履歴を確認できるアプリもあります。


つづく


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