─仕事と介護の両立支援制度&介護保険サービスを活用─
介護離職をしないために 仕事と介護を両立させる4つのポイント
仕事と介護を両立させるための大切な4つのポイント
介護は身体的にも精神的にも負担が大きく、仕事と両立するのは容易ではありません。
介護離職をできるだけしないために、知っておいてほしい4つのポイントをお伝えします。
ポイント① 介護に直面する前に必要な情報を得る
政府は介護離職の状況を大きな社会問題と考え、育児・介護休業法等に基づく「仕事と介護の両立支援制度(以下、支援制度)」【図表1】によって仕事の負担を減らし、介護保険制度に基づく介護保険サービス(以下、介護サービス)【図表2】によって介護の負担を減らすことで、「介護離職ゼロ」をめざしています。
仕事と介護の両立(以下、両立)をするうえで、こうした制度やサービスの活用は必須です。
支援制度は、各制度の対象となる労働者であれば、勤務先の業種や規模にかかわらず利用できます。
- ①~⑥は育児・介護休業法に基づく。
- 制度を利用できる労働者は、勤務先の業種や規模にかかわらず、原則として要介護状態の対象家族を介護する労働者(日々雇用を除く/有期雇用は要件あり)が対象。①~⑥は就業規則に制度が無くても、申し出により利用できる。ただし、勤務先の労使協定の定めによっては取得できない場合もある。
- 要介護状態とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障がいにより、2週間以上の期間にわたり、常時介護を必要とする状態をいう。介護保険制度の要介護・要支援認定を受けていない場合でも取得できる。
- 対象家族とは、配偶者、父母および子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫。
- ⑦以外の手続き方法は、就業規則等の規定がある場合はそれに従う。
- (出所)
- 厚生労働省「介護保険制度について」を基に作成
(介護サービスの対象者と負担額)
介護サービスは、介護保険の加入者で、要介護または要支援の認定を受けた40歳以上(40~64歳は要件あり)の方が対象になります。
自己負担額は1割から3割ですが、自治体によってサービス内容や要件が異なります。
また、要介護者の見守りなど介護保険制度で提供できないサービスを必要とする場合は、全額負担になりますが、民間事業者などが運営する介護保険外サービスも視野に入れましょう。
(介護サービスの事前準備)
介護はいつ始まるかわかりません。
介護に直面すると精神的にも時間的にも余裕がなくなりがちなので、必要な制度やサービスについて前もって調べておくことが大切です。
とくに支援制度は、労使協定によって条件が異なったり、会社独自の支援制度を設けている場合もあるので、勤務先の就業規則を確認しておきましょう。
支援制度の相談先は、勤務先の人事労務担当や各都道府県の労働局雇用環境・均等部(室)となり、介護サービスについては、要介護者が住む市区町村の窓口や地域包括支援センターなどになります。
ポイント② 日ごろから職場に家族の状況を伝える
両立には、周りの協力や助けが不可欠です。介護は誰でも直面する可能性があるため、日ごろから同僚や上司に自分の家族の状況を伝えておくことで、介護に直面したとき「お互いさま」という気持ちから、協力が得やすくなります。
また、家族が遠隔地にいる場合は、近所の協力が大きな助けになることもありますので、ふだんから良好な関係を築いておくとよいでしょう。
ポイント③ 介護に直面したら必ず会社に相談する
両立とは「介護をするために働き方を変える」ということですから、会社への相談は最優先であり、もっとも大切なポイントと言えます。
介護の状況や働き方の要望を伝えることで、今後の両立プランについて会社と話し合うことができるようになります。
(多くの方は相談前に離職している)
しかし厚生労働省のデータを見ると、介護離職経験者の中で勤務先に介護の相談をした方の割合は約25%で、多くの方は相談をする前に離職してしまいます。
理由として、介護で仕事を休むという前例が勤務先に少ないなど、職場の環境で制度を申請しづらかったり、介護というプライベートなことを仕事に持ち込んで、職場に迷惑をかけたくないという考えを持つ方がまだ多いためと思われます。
会社にとって労働者の離職は大きな損失です。
支援制度の活用は会社と労働者の両方にメリットがあるので、臆することなく会社に相談してください。
ポイント④ 介護をし過ぎず自分の時間を確保する
両立の生活では「仕事の休み=自分で介護」と考えがちですが、ゴールが見えづらい介護にプライベートの時間をすべて費やすのは避けましょう。
精神的にも肉体的にも疲弊して、介護放棄といったトラブルにもなりかねません。
「介護はプロの手で」と考えて、仕事が休みのときこそ介護サービスや介護保険外サービスを積極的に活用しましょう。