金融商品なんでも百科
(平成27・28年用)
金融機関選びのポイント
経営内容が健全な金融機関とは
これら7つのポイントのうち、第1点目の金融機関の健全性について詳しくみてみましょう。経営が健全であるとは、経営破綻という事態に陥る可能性が少ないことです。それでは経営破綻とはどういう状態になることなのでしょうか。
経営破綻した金融機関は、財務内容が悪化して債務超過に陥っています。債務超過とは、帳簿上で保有する債権(資産)を債務(負債)が上回ってしまう状態です。債務超過では、たとえ不動産などの資産をすべて売払っても、借入れを完済できません。事実上、財産を食いつぶした格好です。債務超過は、赤字が長引いて、自己資本の取崩しが進んだり、保有している資産の内容が悪化することによって引起こされます。金融機関であれば、預金を払戻したり、保険金を支払ったりすることができないということです。このような金融機関の財務内容を調べるには、決算書やディスクロージャー誌(年次報告書)を使って、その金融機関が毎期ごとに利益を出しているか、多額の損失を抱えていないか、を確認することが必要になります。
また、金融機関が債務超過に至っていなくても、手もとの資金のやりくりに行詰まった場合にも、実際に預金や保険金などの支払いができなくなることがあります。利益を生じない資産や回収できない貸付金などが増えて、支払いのために充当できる資金が少なくなれば、金融機関の資金のやりくりも厳しくなってきます。こうした資金のやりくりができる能力を債務の支払能力といいます。この債務の支払能力を判定する材料の1つとして、格付けがあります。
最近は、金融機関でもネット銀行やネット生命保険などができて営業しています。これらについても、以上のような視点から、決算書やディスクロージャー誌をチェックし、また格付けをみて、財務の健全性判断を行うことが大切です。