─生活・育児支援、就業支援、経済支援、交流場所の提供─
ひとり親家庭が抱える問題や悩みを4タイプの支援制度を活用して軽減
(ひとり親家庭が活用できる支援制度)
経済的に厳しいひとり親家庭の現状
ひとり親家庭とは、20歳未満の未婚の子どもを養育する母子家庭や父子家庭などをいいます。
厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要について」より、ひとり親の現状について見ていきましょう【図表1】脚注2。
母子家庭 | 父子家庭 | |
---|---|---|
世帯数(推計値) | 123.2万世帯 | 18.7万世帯 |
非正規雇用の割合 | 48.4% | 7.8% |
世帯平均年収 (同居親族を含む) |
348万円 | 573万円 |
児童がいる世帯を100とした場合の平均年収の比較(※) | 49.2 | 81.0 |
- 児童とは20歳に満たない者をいう(父母及び父子並びに寡婦福祉法)。
世帯数を見ると、圧倒的に母子家庭が多いのですが、これはひとり親家庭になった理由は離婚によるものが多い中で、子どもの親権を母親が持つケースが大半を占めているためと思われます。
世帯平均年収を見ると、ひとり親家庭は一般家庭の平均を下回り、とくに母子家庭は一般家庭の半分に満たず、経済的に厳しい家庭が多いのが実情です。
その大きな要因として、母子家庭の雇用形態はパートやアルバイトといった非正規雇用の割合が高く、就労収入が少ないことが挙げられます。
コロナ禍以降、仕事を休めばそれだけ収入が減少しますし、子どものアルバイト代も家庭の大切な収入源になっているひとり親家庭では、コロナ禍の影響で親子ともに働けなくなり、家計に大きなダメージを受けて相談に訪れる方もいます。
政府や自治体では、ひとり親家庭が抱える問題や悩みに対して、さまざまな支援策を実施しており、コロナ禍などでより厳しい状況が続く現在、ぜひ活用したいものです。
ひとり親家庭は日々の生活で精いっぱいになりがちですが、支援制度は申請を前提としているため、まずはどのような制度があるのか知ることが、支援制度活用の第一歩となります。
ひとり親家庭の支援制度を上手に活用しよう
ひとり親家庭の問題や悩みと一口に言っても、各家庭の置かれた状況や支援ニーズはさまざまです。
ひとり親家庭が知っておいてもらいたい支援制度を、支援ニーズ別に4タイプに分類しましたので、自分が活用したい制度を見つける参考にしてみてください【図表2】。
- 生活・育児支援
基本的には、ひとり親家庭の子どもについての問題を改善するための支援です。
家庭生活支援員による悩み相談や専門家による家計管理、ヘルパーの派遣、子どもの生活指導や学業支援などがあります。 - 就業支援
世帯主(ひとり親)の就職や収入アップなどをめざして、ひとり親家庭の自立を支援します。
就業相談や教育訓練の用意、教育訓練の受講料や修業中の生活費の支給のほか、入学金や就職準備金などの貸付などがあります(一定の条件を満たせば返済が免除される)。 - 経済支援
経済的に困難に直面するひとり親家庭に対して、手当の支給、就職のための技能習得費用や生活資金などの貸付、所得控除による減税といった支援があります。 - 交流場所の提供
ひとり親家庭は時間的にも経済的にも、また精神的にも余裕がなく、孤立しやすい傾向にあります。その対策として、ひとり親家庭同士が交流し、お互いの悩みを相談し合ったり、情報を交換する交流の場を提供しています。
「何をどう相談すべきかわからない」、「どこに相談に行けばよいかわからない」という方は、まず住んでいる自治体の担当課窓口(名称は自治体によってさまざま)や福祉事務所を訪ねましょう。
そこでひとり親家庭を支援する制度や場所を教えてもらい、それを足がかりに、受ける支援を具体的に検討することをお勧めします。
また、公的支援以外に、NPO法人など民間団体の支援活動がたくさんあります。
活動内容は団体によってさまざまですが、情報収集や情報交換の場として活用する方が多いようです。
まずは、自治体などのWEBサイトで紹介されている団体からチェックしてみてください。