平成25年度 春期研修会
1.講義
「学校における金融教育の推進について」
金融広報中央委員会事務局 金融教育プラザリーダー 岡崎 竜子
金融広報中央委員会では、お金に関する教育全般を「金融教育」と捉えています。その具体的な目標と内容を『金融教育プログラム』の30ページから33ページに年齢層別に示しており、これらの内容を扱っていただく場としては、各学校段階における家庭科の授業が大変重要であると考えています。
2012年6月に、OECD(経済協力開発機構)の「金融教育のための国際ネットワーク」が作成した「金融教育のための国家戦略に関するハイレベル原則」が、G20サミットで承認されました。わが国では現在、『金融教育プログラム』と、2013年4月に金融庁の「金融経済教育研究会」が取りまとめた報告書が、金融教育のための国家戦略と位置付けられています。また、金融教育と関係が深い消費者教育の分野でも、2012年12月に消費者教育推進法が施行されました。
2008~2009年に改訂された学習指導要領では、金融教育に関する内容が拡充されました。とくに、家庭科において、家計の経済の管理や生涯を見通した生活設計に関する内容が大幅に加筆されています。
金融広報中央委員会では、家計管理・生活設計の分野でも実践事例を収集し、先生方に指導計画例をご執筆いただいています。『金融教育プログラム』所収の「ライフプランを立ててみよう」は、フリーター生活の経済上の問題点などを考えさせる指導計画例です。また、『金融教育ガイドブック』の「ライフコースを設計しよう」という実践事例は、賃金や生計費等のデータを基に生涯の収支を計算させるもので、私が大学生にこの授業を行った際には、「人生の設計図」に結婚年齢や子どもの人数などを記入するところで大変盛り上がり、授業後には学生から多くの質問がありました。本日ご参加の先生方にも活用をご検討いただければと思います。このほかにも、『金融教育ガイドブック』には、「ライフステージごとのリスクと保障を考える」、「マイホームを購入しよう」、「クレジットカードに強くなろう」といった実践事例を掲載しています。これらの実践事例、指導計画例は、当委員会ホームページの「教える・学ぶ」コーナーでもご覧いただくことができます。
学校において金融教育をより効果的に進めていただくためには、家庭や地域との間や異なる学校段階の間の連携を強化する、学年間や教科間の関連に留意するといったことが有効です。また、ロールプレイやゲームなどの参加型学習の要素を取り入れることも、効果的な授業を進めるのに役立ちます。
金融広報中央委員会では、学校でご活用いただける教材を作成しております。その中でも、『これであなたもひとり立ち』については、3月中旬に全国の都道府県教育委員会と高等学校等に生徒用教材と教師用指導書各1冊をお送りした後、たくさんの追加送付のご希望をいただいている評判の良い教材ですので、より多くの先生および生徒の皆さんにご利用いただければ幸いです。
また、2014年度も、夏に「教員のための金融教育セミナー」を開催するほか、「金融教育に関する小論文・実践報告コンクール」では、金融教育に関する提言等をまとめた小論文や実践事例を募集します。
本日の機会を有意義なものとして、生徒の皆さんの生きる力を育んでいただきたいと考えています。
金融教育プログラム-社会の中で生きる力を育む授業とは-
金融教育ガイドブック~学校における実践事例集
これであなたもひとり立ち~自立のためのWORKBOOK~
これであなたもひとり立ち~自立のためのWORKBOOK~【指導書】