金融・生活シンポジウム2003
どう変わった?暮らしとお金~金融ビッグバンがもたらしたもの~
パネルディスカッション
(1) 預金者が銀行を選ぶ
荻野 13あった都市銀行が5つのグループになったり、コンビニエンスストアで24時間お金をおろせるようになったり、ここ数年で金融の世界は大きく変わっています。このような変化をどうとらえていらっしゃいますか。
山口 金融機関の再編成があって激しく動きました。それから、いわゆる破綻処理が行われて、金融機関そのものがなくなるということが、大胆におきました。これらは金融ビッグバンによる改革の一つの反映です。もう一つはバブル崩壊の後遺症が金融環境変化の大きな要因となっていて、金融の不安定な状況がもう少し続くものと思っています。
荻原 金融の常識、つまり銀行も保険会社も潰れないという常識が180度変わりました。金融ビッグバン以前は、銀行は絶対に潰れず、商品も全部同じで、サービスも金太郎飴のように全部同じでした。ところが金融ビッグバンで、民間企業としてしっかりやりなさいという方向に変わりました。
それに伴って、みんな同じではないのだから選択が必要であるとか、安全性を確認することが大切であるなど、様々なことが出てきました。やはりこうした点が金融ビッグバンで一番大きく変わってきたことだと思います。
これからは銀行はお客さんを選別して、いいお客さんとはすごく仲良くなるけれども、あまり儲かりそうもないお客さんにはそれほど親切にしないという時代が来るかもしれません。そういう意識を持たないと金融機関に負けてしまう時代になってきたと思います。
大石 生活者としてみると三つあると思います。一つはすごく便利になったことです。二つめは、でもすごく油断のならない時代になってきたことです。三つめは実は面白いのではないかと思えることです。
便利になったというのは、例えばコンビニでお金がおろせたり、週末に振り込めるようになったり、インターネットバンキングができるようになったりした点は大きなメリットを感じます。
反対に油断のならない時代というのは、土曜日にお金を引き出すと実は手数料を取られているとか、取引をしている銀行が潰れるかもしれないことです。
面白いなと思うのは、昔は銀行側が絶対で、完全に上下関係があったわけですが、最近は、われわれも銀行を選別できます。小さな会社がメインバンクを変えることができるほか、共同のサービスを作って一緒にやりましょう、と銀行側に提案できる時代になってきました。
結局、大変な部分と、便利で面白い部分が兼ね合った時に、どちらに転ぶかというのがまだ分からない時代だという感じがします。