金融・生活シンポジウム2002
変わる金融、変わる消費者~自己責任時代を賢く生きる~
パネルディスカッション
(2) 金融の変化に求められるもの
佐藤 今後、ビッグバンを契機として金融がどのように変わっていくのか、伺いたいと思います。
野中 私たちが主人公ですから、金融はこうなってくれないと困ると、私たちが声を上げなければいけない時代に入っていると思うのです。
日本の個人金融資産は1999年のデータで1,400兆円あまり。その内訳を見ると、現金が54%、株式や債券、投資信託は15%ほどで、最近は11%ほどとも言われています。アメリカは現金や貯金が10%を切っていて、株式等が60%近くです。イギリスは個人金融資産は481兆円で、保険、年金がかなりの部分を占めています。
お金の面では、私たちはイギリスの3倍以上のパワーを持っているのですが、どうも自信がないという気がして残念でしょうがないのです。
金融がこれからどう変わるかは大臣や総理の肩にかかっているのではなくて、私たち自身がどういう国にしていきたいのかという、その知識、知力を付けるとかなり元気な国に変わっていけるのだと信じています。
翁 預貯金の偏重は日本の金融システムの最大の特徴ですが、今後は単線的な仕組みから複線的な資金仲介のパイプがあるようなシステムに作っていくことが、日本の金融にとっても経済にとっても非常に強い枠組みを作る前提条件だと思います。ペイオフ解禁は、これを後押しするような措置ではないかと思っています。
今後金融システムがどうなっていくかですが、三つポイントがあると思います。一つは競争が促進されていくだろうということです。二つ目は多様な金融商品が増えて選べる時代になっていくと思います。三つ目は、ますますグローバル化が進むのではないかということです。外国資本の会社が登場して新しい経営手法が入ってきたりして、金融システムの活性化の促進が期待できると思います。
佐藤 ファイナンシャルプランナーの立場から、金融機関の経営等についてご注文があるかと思うのですが、伊藤さん、いかがですか。
伊藤 個人が動くと実は日本経済全体も動いてしまうくらい、個人金融資産は潜在的な力を持っているんです。
では個人が動くために金融がどのように変わらなければならないか。一つには、金融機関は顧客本位の立場に立って信頼に足る商品やサービスを提供していただきたい。二つ目は格付け機関が正確な、客観的な評価情報を提供していただきたい。三つ目は、企業も社会的責任を果たし、良い商品やサービスを誠実に提供して、投資するに足る企業だという行動をしていただきたい。
ファイナンシャルプランナーとしては、消費者の立場に立ってその人にあった支援をすることが求められていると思います。