キャッシュレス時代における家庭の金銭教育
キーワードは「親子で学ぶ」
(キャッシュレス決済ツールの選び方)
キャッシュレス決済ツールは、セキュリティと使う環境で選ぶ
世の中にはさまざまなキャッシュレス決済ツールがありますが、子どもが利用できるものとなると、種類はぐっと少なくなります。
キャッシュレスの利用は「子どもにキャッシュレスを慣れさせる」ことが目的と考えれば、多機能やお得感よりセキュリティを重視し、子どもが使う環境を考慮して選択することをお勧めします。
保護者が懸念する「使い過ぎ」を防止するためには、プリペイド型の利用が一般的です【図表5】。
キャッシュレス決済ツール | 特徴 |
---|---|
交通系電子マネー | 電車やバスなどの乗車券として使用できる。子ども用の発行には、保険証など子どもの本人確認ができるものが必要 |
流通系電子マネー | コンビニエンスストアなど流通系の企業が発行。ポイント優遇などのサービスを行っているケースが多い |
国際ブランド付き プリペイドカード |
国際カードブランドが提携。チャージ金額が限度額になり、国際ブランドの加盟店でクレジットカードと同様に利用できる |
QR・バーコード 決済アプリ |
支払いは、スマートフォンにインストールしたアプリで、QRコードかバーコードを読み取る、または読み取らせる方法がある |
使い勝手を考えるとチャージできるものがよいですが、オートチャージ機能が付いているものは、子どもが勝手にチャージしないようにあらかじめ機能を外しておくと安心です。また、利用停止や残高引継ぎなどが可能で、その手続きが分かりやすいツールを選ぶと、紛失や盗難にあったときにも慌てないですみます。
子どもが利用する環境や目的によっても、ツールの選択が変わります。通学などの交通費であれば、交通系電子マネーが最適です。お菓子やジュース、漫画などの嗜好品であれば、コンビニエンスストアなどが発行している流通系電子マネーを候補にしてもよいでしょう。
高校生になると、利用できるキャッシュレス決済ツールが増えます。さらに、2022年4月からは成年年齢引き下げにより、高校3年生でも、18歳になれば保護者の同意なくクレジットカードを作れるようになる見通しにあり、注意が必要です。
クレジットカードの利用は「借金」であることやリボルビングの仕組みを理解させないと、消費者トラブルにあう危険性が極めて高いと私は危惧しています。高校生の段階では、預貯金口座の残高の範囲内で即時払いされるデビットカードの利用をお勧めします。
失敗しても親子で仲良くキャッシュレスリテラシーを高める
キャッシュレス決済の複雑化する機能やサービスを理解するにはITリテラシーも必要です。保護者にとっても、普及が進む今が慣れるときであり、学ぶときではないでしょうか。
秘けつは、「失敗を糧に、金銭感覚を身に付けてゆく」ことだと私は考えています。子どもと一緒に学ぶつもりで、やり直しがきく今のうちにどんどんチャレンジして、失敗しても親子で仲良くキャッシュレスリテラシーを高めてもらいたいと思います。
今回のまとめ
- 保護者の体験や実践はキャッシュレス決済教育の立派な教材。
- ルール決めと定期的な確認でおこづかいをお金の学びに。
- キャッシュレス決済ツールはセキュリティと使う環境で選択。