金融商品なんでも百科
(平成30年4月)
公社債
公社債の売買費用
新発債は、手数料なしで購入できますが、既発債の売買取引については、取引形態によっては売買委託手数料がかかります。ただし、既発債の手数料は、取引形態などによって違ってきます。
店頭取引と取引所内取引
公社債の売買には、証券会社の店頭で投資家と証券会社とが相対で取引を行う店頭取引(取引所外取引)と、証券会社を通じて金融商品取引所に注文を出す取引所内取引があり、取引のほとんどが店頭取引によって行われています。金融商品取引所に上場されていない債券(非上場債券)は、すべて店頭取引により売買され、金融商品取引所に上場されている債券(上場債券)は、取引所内取引だけではなく店頭取引でも売買できます。
取引に必要な費用
店頭取引で公社債を売買するときは、取引価格に必要な費用が含まれています。一方、取引所内取引で公社債を売買するときは、取引価格のほかに売買委託手数料(および消費税)が必要です。なお、既発債の取引には、原則として経過利子(注)の受払い(購入時には支払い、売却時には受取る)が発生します。
(注)経過利子…公社債の売り手が直前の利払い日から受渡日(精算日)まで持っていた間の利子は、次の利払い日に買い手が受取ることになります。経過利子の受払いにより、「途中売買の受渡し時(精算時)に、売り手が持っていた日数分の利子に相当する額を買い手が立替払いする」という処理が行われているわけです。
店頭取引の取引価格
店頭取引は、個別に行う相対取引なので、取引所内取引と違って統一された取引価格がありません。
なお、日本証券業協会では目安として、複数の証券会社から公社債の実勢価格を反映した気配値の報告を受けて、公社債店頭売買参考統計値および個人向け社債などの店頭気配情報を発表しています。この公社債店頭売買参考統計値は、日本証券業協会のホームページ(https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/index.html)で公表されています。
保護預り、登録・振替決済制度
公社債を購入すると、通常、各金融機関の保護預りとなり、公社債を安全に保管できるほか、利子の受取りや償還日の通知などのサービスを受けることができます。
保護預りの確認書類としては、定期的に「取引残高報告書」が送られてくる方式が一般的です。保護預り手数料は、金融機関によって異なりますので、各金融機関の窓口でお確かめください。
なお、国債をはじめ、社債、地方債、政府関係機関債などについては券面が廃止(ペーパーレス化)されており、取引口座への記帳という形式で管理されています。
平成20年1月6日以降、マル優などの税制優遇措置は、この制度を利用した「振替債」のみに適用されています。
途中償還
公社債の中には、満期日(償還日)前に償還が行われるものがあり、これを途中償還といいます。途中償還されると、その後は利子が支払われませんので注意が必要です。
途中償還には、償還する債券を抽選で決める抽選償還、発行体が任意で行う任意償還の2種類があります。
なお、抽選償還の場合は当選番号が、通常償還日の1か月前に新聞紙面上に掲載されます。ただし、金融機関の保護預りなどにしておけば、新聞などに掲載される抽選償還の通知がきますので、当選番号をチェックしなくてもすみます。また、任意償還時に適用される償還金額は、当初の償還までの期間によって異なりますが、通常は額面より高く設定されます。
公社債と税金
公社債のうち、国債や地方債、公募社債などの一定のもの(以下「特定公社債」といいます。)の利子には原則として20.315%の申告分離課税が適用され、その他の公社債の利子には20.315%の源泉分離課税が適用されます。ただし、障がい者などについては、少額貯蓄の利子非課税制度(マル優)を利用すれば、額面350万円までの公社債の利子が非課税となります。さらに、円表示かつ国内発行の利付国債・公募地方債の利子については、障がい者などは少額公債の利子非課税制度(特別マル優)を利用すれば、マル優とは別枠で、額面350万円までの利付国債・公募地方債の利子が非課税となります。いずれも所定の手続きが必要です。
なお、特定公社債等の利子、償還差損益、譲渡損益は、上場株式等の配当や譲渡損益との通算が認められています。
利子の受取り
公社債の利子は、ほとんどの場合、半年ごとに支払われ、通常、保護預り先の金融機関に開設した口座へ振込んでもらうなどして受取ります。