お金について学ぶ 国際シンポジウム
パネルディスカッション
「今なぜ、学校や家庭でお金に関する教育が必要なのか」
ジュニア・アチーブメントの動きは?
野田 寺脇さん、スチューデント・シティ設立の経緯を聞かせてください。
寺脇 ジュニア・アチーブメント協会の方々からお話を聞いてビデオを見て、これは素晴らしい、是非日本でもやりたいけど、なかなかやれないだろうと話していました。
そうしたら日本に作る気がないのなら、アメリカの企業が金を出しても作るぞ、という話になってきました。お金は全部ジュニア・アチーブメントが出して作ってくれるというのに、学校、教育委員会では、「そういうものを作られては困る」というんですよ。
それで思案していたら、品川区が「うちでやろうじゃないか」といってくださって、小学校の空いたスペースを使わせていただくことになりました。でも残念なことに土曜日しか使われていません。要するに正規の授業じゃないわけです。
これではいけないということで、今度第二号としてできる福島市の方は一週間フルに稼働するようになります。福島市の商工会議所が、「地域の次代の子どもを育てていくためには、そうあるべきだ」といってくださったようです。ここで素晴らしいのは、福島大学教育学部のこれから教師になろうという学生がボランティアで手伝ってくれることです。
ライシュバック ジュニア・アチーブメントは起業化精神に焦点を置いたプログラムで、ビジネスマンがボランティアとして学校で教えるという長い歴史をもっています。
今でもアメリカ銀行家協会のプログラムでは、銀行員が実際に教室に行っているようですが、一般的にみると、最近ビジネスマンが出張して学校に出向くことが少し困難になり、Eメールで教室の生徒とコンタクトを取るという方法が増えています。
金融教育にふさわしい教材
野田 金融教育を進めるうえで、それにふさわしい教材についてはいかがですか。
高橋 金融広報中央委員会から出されている『金融学習ナビゲーター』という冊子があります。この冊子では事業者団体などが作成した金銭教育ツールを紹介しています。この冊子を実際にお使いになってみて、「これはよい」、「ここは改善した方がよい」といったような声を寄せていただき、教材の見直しをすべきと思います。
それから、同委員会の『金融商品なんでも百科』は金融について学ぶ基本的な教科書ともいえますから、大人がまずそれを学習して、それを子どもたちに伝えていく工夫をしていけばよいのではないかと思います。
いちのせ 私の場合の教材は、「たこ焼き屋さん」というのを使っています。私は大阪に住んでいるので、「大阪で有名なのはなんですか?」と出かけた学校で聞くと、たいてい「たこ焼き」と答えます。生徒と一緒にたこ焼き屋をやろうということで、材料、原価、販売価格、利益などについて、具体的に考えていくようにしています。子どもたちからは実に様々な答えが出てきますよ。