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お金について学ぶ 国際シンポジウム

基調講演

(2) 子どもの時代から始めたいお金の学習

高橋 伸子(生活経済ジャーナリスト)

高橋 伸子いまわが国では、金融分野の規制を大幅に緩和して、市場を通じてお金の流れを活性化していこうという動きが起きています。私たち個人に対しても金融商品やサービスの選択肢が大幅に増えています。

ある意味では便利になりますが、たくさん出てきた金融商品やサービスの質や価格を、個人できちんと見極めて、ニーズにあったものを主体的に選ぶべき、という流れになっています。

私たちはいま、自己責任原則の下で、リスクもある代わりにさまざまなチャンスも与えられている状況にあるわけです。それゆえに金融や経済について学習する必要が発生しているのです。

いま求められているお金の学習とは何かを考えますと、一番重視しなければならないのは、子どもたちに主体的な意思決定能力を身につけさせることだと思います。自己選択、自己決定、自己責任とワンセットでいわれますが、これは容易なことではありません。ペイオフも解禁されました。金融機関が破綻すれば、損失を被る可能性も出てきているのです。

私たちは、商品性はもとより金融機関の安全性にまで気を配って、金融商品やサービスを選ぶことが求められていますから、それなりの金融経済知識が必要になります。でも、それ以前に自分で情報収集をしてアドバイスも参考にして自分で決めるという姿勢や意識が大切で、これは子どもの頃から、生活のいろいろな場面で身につけていくべきことだと思います。

二番目に重要なことは、子どもたちが意思決定の過程で、もっとお金のことについて知りたいと感じた場合への対応です。金融や経済特有の判断を迫られる場面が出てきますので、その際に金融リテラシー、つまり読み書き能力にあたる基礎知識を学校教育で是非教えていくべきだと思います。

暗記をしたり覚えたりという学習ではなく、生き物である経済が時々刻々と変わってきますので、そうした”状況の変化“への対応力を含めた教育が重要になってくると思います。主体的意思決定能力が備わりつつある少し年齢の高い子どもたちに対しては、金融に関する教育を徹底的に行うべきです。

お金に関する学習は、日本ではまだ実験段階ですが、子どもにしっかり学ばせるためには、学校だけに頼っていては効率が悪いです。金融関係者や地域社会の適切な関与が必要ですし、親や教師など大人自身がもっとお金について積極的に学ぶ姿を子どもや孫たちに見せていく必要があると思います。


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