―目前に迫る「成年年齢引下げ」―
新成人に起こり得る消費者トラブルと対策を親子で学ぶ
(3つの消費者トラブル対策と家庭での対話の重要性)
これだけは覚えてほしい!3つの消費者トラブル対策
だましのプロの悪質業者は、社会に出て間もない新成人など容易にだますことができます。
しかし、知識があればリスクを回避でき、トラブルを解決できるケースも多くあるのです。
「自分は大丈夫」、「うちの子に限って」などと考えず、今からでも実行すべき3つの消費者トラブルの対策をしっかり覚えておきましょう。
①消費者として最低限の知識を身に付ける
消費者として必ず知っておかなければならないことは「契約の知識」です。契約とは、法律が適用される約束のことで、「買います」⇔「売ります」など自分と相手が口頭でも合意すれば成立します。
(消費者を守る法律を知る)
契約をすると権利と義務が生じ、自己都合で相手の合意なく契約を解除することはできません。ですから契約前に、契約するか否かを慎重に検討する必要があるのです。
そして、以下のように消費者を守るための法律を知っておくことで、トラブル回避やトラブル時の助けにもなります。
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消費者契約法
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特定商取引法
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電子契約法
こうした知識を学べる教材が政府機関などから提供されていますので、ぜひ活用してください【図表3】。
また、消費生活センターにはその地域の特性を考慮した消費者情報が集約されているので、最寄りのセンターにぜひ親子で足を運んでみてください。
②消費者トラブル情報のアンテナを常に高く
悪質業者は、さまざまな手口で消費者に近づいてきます。そうした情報をキャッチするアンテナを、常に高くしておきましょう。
国民生活センターのメールマガジン「おすすめフレッシュ便」や「子どもサポート情報」は、消費者トラブルに関する最新情報が入手できるので、親子で登録することをお勧めします。
③万一のときの相談場所を知る
トラブルに遭ってしまった場合でも 相談場所を知っておけば、慌てず適切に対処することができます。「188(消費者ホットライン)」に電話をすると、近くの消費生活センターの相談窓口につながります。法的トラブルの相談に役立つ日本司法支援センター(法テラス)☎0570‒078374や、警察相談専用電話(#9110)も控えておくとよいでしょう。
(政府の取組み)
また、政府でも消費者契約法を一部改正し、「不安をあおる告知」や「好意の感情の不当な利用」を取消しの対象としたほか、「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」で高等学校における消費者教育の強化を推進するなど、各種施策を行っています。
こうしたセーフティネットの強化を、今後もさらに進めてもらいたいと願っています。
家庭での対話と教育、そして親の心がまえ
成人に必要な消費者知識は学校で学べますが、金銭感覚は日々の生活で培われるという面が多分にあるため、家庭での親子のコミュニケーションが重要になります。
クレジットカードを「現金要らずの魔法のカード」などと思ってしまわないために、小さい頃から「おこづかい教育」を行い、自制心をコントロールする力を身に付けさせることが、これまで以上に必要となります。
そして「子育ては18歳まで」という心がまえを親が持つことで、子どもは成年年齢にふさわしい18歳を迎えることができるのではないでしょうか。
(分からないことは相談しよう)
これから成人を迎える皆さんは、18歳になり自分で決断できるようになっても、不安なことや知らないことは、親など信頼できる周りの大人に相談しましょう。
そうすることで消費者トラブルの回避だけでなく、自立した大人への成長につながります。また成年年齢引下げをきっかけに、親御さん自身も消費者としての金銭・金融力を向上させて、新成人を見守るセーフティネットの存在になっていただきたいと考えています。
今回のまとめ
- 新成人の主な消費者トラブルは「儲け話」、「美容・医療」、「インターネット通販」。
- 消費者トラブルの3つの対策は「契約知識の習得」、「情報キャッチ」、「相談場所の把握」。
- 親は「子育ては18歳まで」と心がけ、日頃から子どもとのコミュニケーションを大切に。