住宅購入時のサポート制度とコロナ禍で変わる住宅選び
コロナ禍で変わる住宅選び
コロナ禍は住宅に対する意識にも変化をもたらしているようです。都心暮らしと郊外暮らしの違いやそれぞれのメリット、これから住宅を買うにあたって気を付けるべきポイントを見ていきましょう。
1. コロナ禍で変わる住宅ニーズ
郊外や地方への移住に対する関心が増加
住宅の購入・建築を検討している人を対象に行った「第2回 コロナ禍を受けた『住宅購入・建築検討者』調査」(首都圏/リクルート調べ)によると、コロナ禍が「住まい探しの後押しになった」もしくは「きっかけになった」という人は全体の約40%存在します。
コロナ禍でのステイホームやテレワークなど、生活様式や働き方の大きな変化が、改めて「住宅はどうあるべきか」ということを考えるきっかけになっているようです。
コロナ禍以前は勤務先からの通勤時間を重視する人が多くいましたが、在宅でのテレワークが普及し家で過ごす時間が大幅に増えたことで、「職住近接」の志向が弱まっています【図表6】脚注6。
また、住宅に求める条件にも変化が見られます。「仕事専用スペースが欲しくなった」、「広いリビングが欲しくなった」など、広さへのニーズに加え、通風、遮音、日当たり、冷暖房効率などへのニーズも増しており、住宅に快適性を求める傾向が強まっています【図表7】脚注7。
このように、コロナ禍の影響で、職場や駅からの距離よりも住宅そのものの快適性を重視する人が増えた結果、郊外や地方の一戸建てへの関心が高まっているようです。
2. 都心のマンション VS 郊外の一戸建て
メリット・デメリットを考慮し万一のことも考えて選択
実際、都心と郊外で住宅を購入した場合、それぞれどんなメリットとデメリットがあるか考えてみましょう。
都心のオフィスで共働きの夫婦と3歳の子どもの3人家族、頭金500万円を例に、以下の条件で毎月かかるお金をシミュレーションしてみました(住宅ローン減税やすまい給付金は考慮していません)。
- 都心部の人気エリアの中古マンション
- 郊外の人気ベッドタウンの新築一戸建て
まず、①購入価格6,000万円の都心部の中古マンション(築7年・60㎡・駅徒歩2分)を購入するケースで、0.625%の変動金利で35年の住宅ローンを組むと、毎月の返済額は約14万円となります。管理費等が加わると、住居費として毎月約16万円強かかりそうです。通勤や買い物などの利便性は高いものの、金銭的な負担が大きいのがデメリットです。
一方、②2,400万円の郊外の新築一戸建て(約120㎡・駅まではバス利用)を購入するケースでは、①と同じく0.625%の変動金利で35年の住宅ローンを組むと、毎月の返済額は約6万3,000円となります。駅から遠いため自家用車の購入・維持費が別途必要になるかもしれませんが、それでも都心部のマンションと比べれば経済的に余裕が生まれます。また、夫婦2人がテレワークで働くにも十分な広さを確保できる点や自然に囲まれた環境で子育てものびのびとできる点も大きな魅力です。
もちろん、子どもの進学先が都心部の学校になる可能性もありますし、リモートワークが中心だからと郊外に家を購入したものの、会社が方針を変え全面的にオフィス勤務に転換するリスクも考えられます。
なお、都心部、郊外いずれにせよ、コロナ禍で経済の先行きが不透明な中、勤めている会社の経営が悪化し、収入が下がってしまうリスクも。そうなると、支払えると思って組んだ住宅ローンが支払えなくなる恐れもあります。
そのため、購入時は決して無理をせず、できれば頭金を2割程度準備し、借入額は1円でも少なくするといいでしょう。また、いざというときには購入した物件を売却することも想定し、値下がりしにくく資産性の高い物件を選ぶことも大切です。
脚注
- 6
- (出所)「 第2回 コロナ禍を受けた『住宅購入・建築検討者』調査」(首都圏/リクルート調べ)
- 7
- (出所)「 第2回 コロナ禍を受けた『住宅購入・建築検討者』調査」(首都圏/リクルート調べ)