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その取引、いくら手数料がかかるか、知っていますか?
初心者・一般向け
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金融商品にはさまざまな手数料がかかる
世の中には、いろいろな金融商品がありますが、ある商品を買って売った時に、仮にその差額がプラスであっても、その額が、買値と売値の単純な差額でなかった(例えば、差益が少ない)、といった経験をされたことはありませんか。実は、単純に買値と売値の差益(利ザヤ)だけでなく、売買取引を委託した際の「手数料」が、商品を買う時、売る時それぞれにかかっているからなのです。
株式投資、投資信託、外貨建て保険を例に、「手数料」について考えてみましょう。
株式の売買手数料
株式を買った時、売った時にはそれぞれ売買手数料がかかります。この売買手数料は金融機関ごとに異なります。一般的に、ネット金融機関では安く、対面型のサービスを行う金融機関では高くなる傾向があります。また、1回の売買ごとに手数料が発生するコースや、1日定額制のコースを選べる金融機関もあります。
約定代金 | A社(ネット) | B社(対面) |
---|---|---|
10万円 | 90円 | 2,808円 |
30万円 | 250円 | 4,200円 |
投資信託の販売手数料等
投資信託は、金融機関が多くの投資家から資金を集め、これを1つにまとめて大きな資金にして専門家が運用する仕組みの金融商品であり、集まった資金は、有価証券(公社債や株式)や不動産などに分散投資されます。投資信託にかかる費用は3つあります。
- 販売手数料
- 購入時に購入額の数%が販売手数料として徴収されますが、中には手数料が徴収されないノーロード型というものもあります。
- 信託報酬
- 保有期間中の運用のための費用や資産の保管管理のための費用です。保有資産の額に応じて一定率を徴収されるものが一般的です。高いものでは数%といった商品もありますし、日経平均株価やTOPIXといった株価指数などに連動する「インデックスファンド」と呼ばれる商品は、0.3~0.5%などと手数料は低めの傾向があります。
- 信託財産留保額
- 換金時に換金代金から徴収される費用で、徴収額は投資信託に残されます(留保されます)。この費用は、徴収される商品と徴収されない商品があります。
外貨建て保険の為替手数料
生命保険には、保険金を米ドルなどの外貨で受け取る外貨建て保険があります。円建ての保険と異なるのは、円で支払った保険料を外貨に換えたり、外貨で受け取った保険金や解約返戻金を円に戻す際に、為替手数料がかかることです。
為替手数料は保険会社で異なり、米ドルであれば、片道1米ドル0.01~1円と差があります。
A社 | B社 | |
---|---|---|
為替手数料 | 片道1米ドル0.01円 | 片道1米ドル1円 |
実際の為替手数料額 | ▲200円 | ▲2万円 |
受取保険金額 | 199万9,800円 | 198万円 |
手数料が低いほど、買値と売値間の差益が発生しやすい
金融商品の取引でかかる手数料は金融機関によって異なります。そして、当然ながら、手数料が高ければ高いほど差益(買値、売値の差額)が出たとしても、引かれる額が大きくなりますし、逆に、手数料が低いほど引かれる額は小さくなります。
因みに、皆さんは、専用の非課税口座で購入した金融商品の運用益(分配金や売却益)が非課税になる「NISA(少額投資非課税制度)」を耳にしたことはありませんか?NISAには、「一般NISA」と「つみたてNISA」の2つがあり、いずれか一方を利用することができます※。
一般NISA | つみたてNISA | |
---|---|---|
対象者 | 20歳以上の居住者 | |
非課税投資限度額 | 年120万円 | 年40万円 |
非課税期間 | 最長5年 | 最長20年 |
対象商品 | 上場株式、投資信託、 ETF、REIT |
一定の基準を満たした 投資信託およびETF |
投資方法 | 制限なし | 積立のみ |
※ このほかジュニアNISAもありますが、ここでは省略しています。
「一般NISA」では、NISA口座内の株式売買の手数料は無料という金融機関もあります。
また、「つみたてNISA」では、利用できる投資信託は、金融庁の基準をクリアした商品に限られますが、販売手数料はかからず、信託報酬も低い商品に限定されています。
このようにNISA口座内における株式や投資信託は、税制優遇だけではなく、売買・販売手数料の点でも有利になっているため、効率的な運用が期待できます。
手数料も比較する習慣を
以上のとおり、手数料が低いほど、コストを抑えることができるため、利益が出やすくなります。投資を始める際は、どのような手数料が発生し、それがいくらなのか、あらかじめしっかり把握しておくことが大切です。
その上で、例えば、「株式の売買手数料は、どの金融機関が安いのか」、「自分が利用する金融機関で扱っている投資信託で、より手数料等が有利な商品はどれか」など、手数料を「比較する習慣」をつけることをお勧めします。
なお、金融機関ごとの手数料の比較情報は、マネー誌のサイトなどにもあります。できるだけ信頼できるサイトの情報を活用して絞り込んだうえで、情報が正しいか確認をしてみてもいいですね。
手数料が低ければいいわけではない!?
「手数料が低ければ、その分、差益を獲得しやすい」のは事実ですが、一概にそうとも言えないことについても、触れておきましょう。
例えば、株式の売買取引において、ご自身でインターネットを使って、ネット証券などで売買するスキルをお持ちの方は、手数料は単にコストに過ぎず、なるべく低い方が有利でしょう。その一方で、「営業の人からアドバイスをもらいたい」という方は、「サービスの対価としての手数料」と考え、多少の手数料がかかっても対面の金融機関を選んだ方が満足度は上がります。
投資信託を選ぶ際には、コストだけでなく、過去の運用実績も大事です。手数料はやや高めだけれど運用実績はバツグンという商品を見落としてしまうかもしれません。
最後に、手数料が低い金融機関が優れた金融機関であるとは限りません。商品に関しても同じです。トータルで選ぶ「目利き」も大切な素養です。
執筆者:豊田眞弓