はじめての金融教育-ワークシート付き入門ガイドと実践事例集-
1.金融教育入門ガイド
(2)中学校(社会)における入門ガイド
家計のシミュレーションゲームと模擬商談
東京都目黒区立目黒中央中学校 三枝利多教諭
<2>金融教育に取り組む先生方へのメッセージ
(参考)家計のシミュレーションゲームと模擬商談の手順
クラスの生徒を 5~6名ずつのグループに分ける。グループの中で、家族の役割を決める(父、母、長男、長女、祖父、祖母)。まず、個人で、ワークシートで各費目(住居費、食費、衣料費など)についてA~Cコースを選ぶ。1か月分の収入(840万円÷12か月=70万円)に対し、自らの各費目のコース選択のもとで、1か月の預貯金はいくらになるかを計算する。
ワークシート1「自分の望む家計を設計しよう(シミュレーションゲームの準備)」(PDF 355KB)
住居費 | Bコース | 月12万円 |
---|---|---|
食費 | Bコース | 月15万円 |
衣料費 | Bコース | 月 2万円 |
光熱・水道費 | Aコース | 月 3万円 |
交通・通信費 | Cコース | 月 2万円 |
教育費 | Aコース | 月 6万円 |
教養・娯楽費 | Aコース | 月 7万円 |
自動車 | Bコース | 月 2万円 |
税金等 | 月12万円 | |
保険 | 生命保険 | 月 2万円 |
自動車保険 | 月 1万円 | |
支出計 | 月64万円 | |
預貯金 | 月 6万円 |
次にグループとして各費目を選び直す。グループ討議を踏まえて選び直した月の総支出・預貯金額がいくらになるかを計算する。
この家計で 5年間生活するとして、1か月の総支出、預貯金額から 5年後に預貯金がいくらになるかを計算する。
(例) 月 6万円× 12か月× 5年間= 360万円
シミュレーションゲームを行う。
各グループでシミュレーション用カードを引き、家計簿に記入しながらゲームを行う。
なお、ここで、各グループの代表が交代で黒板の前に出てカードを引き、教師がこれを読み上げ、各グループがカード内容に応じて家計簿に記入する、としてもよい。
2か月に1回カードを引くこととし、これを 30回繰り返す。5年間の家計のシミュレーションゲームを行う。なお、1年目は季節に合わせて各月に引くカードの順番も予め教師が決めておく。このため、各グループ分のカードを教師が1年目の6枚は季節に配慮して予めセットしておく。
5年分の家計運営結果をワークシート「家計のシミュレーションゲーム:家計簿」に記入し、集計する。この際、シミュレーションゲーム用カードに記載されている記号(☆=満足1、☆☆=満足2、▼=我慢1、▼▼=我慢2)に基づき、「満足度」および「我慢度」の欄にも記入し、家計の収支だけではなく、家計運営における満足や我慢の度合いについても振り返りを行う。
ワークシート2「家計のシミュレーションゲーム:家計簿」(PDF 251KB)
グループごとに、次の学習で、車と家のどちらの模擬商談を体験するかを選択する。
希望する車ないし家の特性をグループ内での話し合いを踏まえて列挙する。
持ち寄ったチラシなどで、それぞれの特性をもつ車や家の値段と、これらのうちいずれかを購入するためにローンを組むとするとどのような返済条件になるのかを調べる。
車または家の営業担当者と模擬商談を行う。模擬商談で成立した購入条件がグループの家計のシミュレーション結果(預貯金残高や毎月の預貯金額など)と整合的かどうかについても検討する。
(注)本実践の「指導計画」、「本時の展開」、「評価の規準」については、金融広報中央委員会『金融教育ガイドブック-学校における実践事例集-』(平成 17年3月)P.88~95および同『金融教育プログラム-社会の中で生きる力を育む授業とは-』(平成 19年2月)P.109~118をご参照ください。