金融教育に関する実践報告コンクール
第18回金融教育に関する実践報告コンクール(2021年)
応募状況および特賞・優秀賞受賞作品の紹介
第18回金融教育に関する実践報告コンクールでは、金融教育に関する提言、実践事例や実践計画などを募集しました。教員、研究者、教員を目指す学生の方等から35編の作品が寄せられ、厳正な審査の結果、特賞1編、優秀賞3編、奨励賞4編の入賞作品が決まりました。
今年度から小論文部門を廃止し、「学校で取り組まれた実践報告」「学校で取り組む予定の実践計画」「金融教育・金銭教育研究校および金融教育研究グループで取り組まれた実践内容」を募集テーマ例として挙げました。
入賞作品のうち、特賞と優秀賞3編の4編を紹介します。
特賞「知的障害のある生徒の生きる力につながる金融教育を ~特別支援学校高等部家庭科におけるカリキュラムマネジメント~」は、消費者トラブルと対処法を一方的に教えるこれまでの家庭科のカリキュラムを見直し、ものの値段をクイズで学んだり、やりくりしながら買い物をする学習機会を設けたりしたほか、家計管理のシミュレーションやライフプランを可視化するなどの実践事例を報告しています。「卒業後の生活まで見据えて支出能力を育成しようとしている」「丁寧な教育が行われ、ノウハウや仕組みに応用が効く」「生徒の状況が違う中で工夫している」として高い評価を集めました。
優秀賞「他国の経済事情を学ぶことを通して育む起業家精神 ~中国ベンチャー企業から現在の日本が学ぶべきこと~」は、中国の青島日本人学校における起業家教育の実践事例を報告しています。「文章が読みやすく、オリジナリティーがある」「現地の良いところを学ぼうとする姿勢や父兄へのアンケート調査を教材にうまく活用している」として評価されました。
優秀賞「金融教育を活用した商業教育カリキュラムの開発 ~金融教育の実践と新学習指導要領(平成30年告示)への対応~」は、来年度の新学習指導要領の実施に向けて、3つの柱、すなわちキャリア教育の推進、指導と評価が一体化した学習評価の充実、地域資源の活用を意識して作成した指導計画を報告しています。「他の学校や地区でやろうとした場合でもできる実践」「資料が豊富でカリキュラムの中身がよく見える」「非常に綿密に指導計画を作っている」として評価されました。
優秀賞「生活科を中心とした小学1年生からはじめる金融教育の提案 ―離島・へき地地域のコミュニティ経済を活かして―」は、島の経済活動の中心となっている共同売店に着目し、小学校低学年の児童が「小さな生産者」「小さな消費者」としてコミュニティ経済に参加していくことで、自分事として金融経済の学習に向き合い、楽しく学ぶことを目指した取り組みを報告しています。「授業の姿がありありと伝わってきた」「コミュニティの関わりがよく見える」「厳しい条件を克服している」として評価されました。
今回のコンクールでは、来年4月に成年年齢が18歳に引き下げられることや、新学習指導要領で金融教育が強化されることを踏まえて、新たなカリキュラム作成等に取り組む意欲的な作品や、離島・海外といった特別な環境で金融教育を試行する独創的な作品が多数寄せられました。特賞、優秀賞を受賞された皆様の優れた作品が広く取り上げられ、金融教育への機運がより一層高まることを願っています。