金融教育に関する実践報告コンクール
第15回金融教育に関する小論文・実践報告コンクール(2018年)
応募状況および特賞・優秀賞・推奨実践事例賞受賞作品の紹介
第15回金融教育に関する小論文・実践報告コンクールでは、「小論文部門」、「実践報告部門」、「研究校部門」の3部門で、金融教育に関する提言、実践事例や実践計画などを募集しました。教員、研究者、教員を目指す学生の方から22編の作品が寄せられ、厳正な審査の結果、特賞1編(小論文部門)、優秀賞3編(小論文部門1編/実践報告部門2編)、奨励賞6編(小論文部門3編/実践報告部門3編)、推奨実践事例賞2編(研究校部門)の入賞作品が決まりました。
小論文部門では「これから取り組んでみたい金融教育」「これからの時代に求められる金融教育」「金融教育をさらに普及していくための提言」、実践報告部門および研究校部門では「学校で取り組まれた実践報告」「学校で取り組む予定の実践計画」を募集テーマ例として挙げました。
入賞作品のうち、特賞と優秀賞3編(小論文部門1編/実践報告部門2編)、研究校部門の推奨実践事例賞2編の6編を紹介します。
特賞「教科等横断的な金融教育を実現するカリキュラム編成のための一考察~『金融教育で育成を目指す資質・能力』の設定とカリキュラム表作成の試み~」(小論文部門)は、現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力に注目して金融教育のカリキュラムの全体構成を考える手続きを提案しています。金融教育全体のカリキュラムの枠組みを作ろうとした点が野心的で前向き、教科横断的な学習を重視する点は新学習指導要領の趣旨と合致しており金融教育を進める上で効果的、として高い評価を集めました。
優秀賞「電子マネーに焦点を当てた金銭管理教育~中学校家庭科での授業提案に向けて~」(小論文部門)は、新学習指導要領で新たに導入された中学校技術・家庭科における金銭管理の学習内容を提案している、電子マネーに関する指導という現代的で難しいジャンルに挑戦していると高く評価されました。
優秀賞「学童によるミニ・ミュンヘン活動における金融教育~ろりぽっぷクラブのミニ・ミュンヘン計画の実践報告~」(実践報告部門)は、学童クラブや幼稚園での模擬通貨を使った経済活動を展開することは非常に有意義であり、本実践の魅力あふれる内容と成果が報告されている、また、働く女性が増える中で学童クラブでの取り組みは非常に重要である、と評価されました。なお、本作品で「仮想通貨」という言葉が使われていますが、実際は「模擬通貨」のことを示しています。
優秀賞「人生100年時代をどのように生きるのか、主体的なキャリアデザインの描き方~『LIFE SHIFT』を題材とした金融経済教育の実践~」(実践報告部門)は、人生100年時代と働き方改革という2つの重要な現代的課題を取り上げ、高校生に日本と海外の比較を交えつつ、社会保障、労働問題を学ばせる視点が非常に良いとして評価されました。なお、本作品については、授業実践についてもっと詳しく書けるとより良かったとの意見が聞かれました。
推奨実践事例賞「グローバルな人材を育てる経済学教育」(研究校部門)は、学校を挙げて取り組んでいる点や社会の各方面の取り組みを利用して成果を上げている点などが高く評価されました。
推奨実践事例賞「夢や希望をもち、自分らしい生き方を実践していく児童の育成」(研究校部門)は、研究校としての全学年全教科における取り組みの中で、担当の家庭科における実践を丁寧に紹介している点が高く評価されました。
今回のコンクールでは、2017年および2018年の3月に告示された新学習指導要領に明記された「現代的な課題に対応するための資質・能力」や「教科横断的な学習の重視」、「社会に開かれた教育課程」といった観点が金融教育と一致することに着目した野心的な取り組みを報告した力強い作品が多数寄せられました。特賞、優秀賞、推奨実践事例賞を受賞された皆様の優れた作品が広く取り上げられ、金融教育への機運がより一層高まることを願っています。