金融教育に関する実践報告コンクール
第14回金融教育に関する小論文・実践報告コンクール(2017年)
応募状況および特賞・優秀賞・推奨実践事例賞受賞作品の紹介
第14回金融教育に関する小論文・実践報告コンクールでは、「小論文部門」、「実践報告部門」、「研究校部門」の3部門で、金融教育に関する提言、実践事例や実践計画などを募集しました。教員、研究者、教員を目指す学生の方から21編の作品が寄せられ、厳正な審査の結果、特賞1編(実践報告部門)、優秀賞2編(実践報告部門2編)、奨励賞4編(小論文部門4編)、推奨実践事例賞1編(研究校部門)の入賞作品が決まりました。
小論文部門では「これから取り組んでみたい金融教育」「これからの時代に求められる金融教育」「金融教育をさらに普及していくための提言」、実践報告部門および研究校部門では「学校で取り組まれた実践報告」「学校で取り組む予定の実践計画」を募集テーマ例として挙げました。
入賞作品のうち、特賞と実践報告部門の優秀賞2編、研究校部門の推奨実践事例賞1編の4編を紹介します。
特賞「アントレプレナーシップにおける金融教育~東和中学校のアントレプレナーシップの実践報告~」(実践報告部門)は、中学校における模擬企業設立の実践を通して、生徒たちがさまざまな力を身に付けてきた実績を報告しています。この実践の特徴としては、商品企画、株主募集、道の駅での商品販売、会計監査を経て、株主総会を開催し、配当を行うところまで実践された点が大きく、次期学習指導要領に関連して注目される起業に関する授業実践について、企業活動のより多くの側面を体験させる実践であり、次期学習指導要領のもう一つの注目点である「企業会計」にも触れている、として高い評価を集めました。
優秀賞「六次産業化を意識した起業家教育~中学生が地元の農作物を栽培し、商品開発・販売するまでの取り組み~」(実践報告部門)は、中学校における模擬企業設立の体験学習を、地元企業と多角的に連携しながら丁寧に実施しており、地域創生にもつながる内容であることや、レポートとして大変よくまとまっていることが評価されました。
優秀賞「経験学習モデルによる株式投資と経営の授業~金融教育における主体的な学習活動の実践~」(実践報告部門)は、中学校3年生の授業にゲームとロールプレイングを取り入れて株式投資と企業経営のしくみを学習させています。比較的限られた授業時間で経済の仕組みを深く学ばせており、生徒が楽しみながら学んでいることが窺われる実践であるといった点が評価されました。
推奨実践事例賞「みんなの山辺っ子カンパニー~ブドウ作りから学んだこと~」(研究校部門)は、前任校における金融教育研究校としての研究および実践の内容を紹介しています。地元の農産物であるぶどうの栽培を児童に丁寧に体験させているほか、地元企業にワインの醸造を委託している点がユニークである、看板を制作するなど販売の上での工夫も凝らしている点などが高く評価されました。
今回のコンクールでは、本年3月末に告示された次期学習指導要領に明記された「社会に開かれた教育課程」や「起業を通じた金融のしくみの学習」が金融教育において大変有意義な形で実践されていることを示す力強い作品が多数寄せられました。特賞、優秀賞、推奨実践事例賞を受賞された皆様の優れた作品が広く取り上げられ、金融教育への機運がより一層高まることを願っています。