金融教育に関する実践報告コンクール
第13回金融教育に関する小論文・実践報告コンクール(2016年)
応募状況および特賞・優秀賞・推奨実践事例賞受賞作品の紹介
第13回金融教育に関する小論文・実践報告コンクールでは、「小論文部門」、「実践報告部門」、「研究校部門」の3部門で、金融教育に関する提言、実践事例や実践計画などを募集しました。教員、研究者、教員を目指す学生の方から27編の作品が寄せられ、厳正な審査の結果、特賞1編(小論文部門)、優秀賞4編(小論文部門2編/実践報告部門2編)、奨励賞5編(小論文部門2編/実践報告部門3編)、推奨実践事例賞1編(研究校部門)の入賞作品が決まりました。
小論文部門では「これから取り組んでみたい金融教育」「これからの時代に求められる金融教育」「金融教育をさらに普及していくための提言」、実践報告部門および研究校部門では「学校で取り組まれた実践報告」「学校で取り組む予定の実践計画」を募集テーマ例として挙げました。
入賞作品のうち、特賞と小論文部門・実践報告部門の優秀賞各2編、研究校部門の推奨実践事例賞1編の6編を紹介します。
特賞「将来の主権者を育てる金銭教育の展開~行事を最大限活用した『コア学習』の先行的研究~」(小論文部門)は、小学校における複合的な体験学習を通じた児童の公民的な資質の育成について、数年に亘る複数学年の実践をもとに提案しています。本小論文は、身近な素材を使って、流通・販売を多角的に体験させ、児童に主体性をもって考えさせる実践内容が非常に充実している点が高く評価されました。
優秀賞「『キャリア教育』としての『金融教育』―大学における効果的な実施方法―」(小論文部門)は、大学における金融教育の必要性と効果的な実施方法を提唱しています。大学における金融教育の必要性というタイムリーなテーマを取り上げ、導入の際のポイントや具体的なプロセスを年間カリキュラムも含めて提案していることが評価されました。
優秀賞「進路指導とリンクさせる金融教育の在り方について―家計ゲームを通して主体的な選択を行う姿勢を育てる―」(小論文部門)は、家計ゲームを中学生にとって切実な「自活・自立」と結びつけたことが新鮮であり、このことにより、家計管理という重要な学習課題に生徒たちが意欲的に取り組んでいるとして評価されました。
優秀賞「金融教育との関連で実現する『考え、議論する道徳』―金融教育を多面的に広げる、道徳の大主題学習を通じて―」(実践報告部門)は、「節度、節制」にとらわれない広い視野から小学校道徳で金融教育に取り組んだ実践を紹介しています。道徳の教科化に向けた意欲的な取り組みであり、児童たちの主体的な学習や、お金について学ぶ意欲の向上が見られるとして評価されました。
優秀賞「小学校中学年における『生きる力』を育成する金融教育の実践~市場体験型シミュレーションゲーム『Market Game』の開発と実践の報告~」(実践報告部門)は、小学校3年生が教室内で行うシミュレーション学習の実践の報告です。お菓子を販売する会社の経営という小学生の興味を引く設定の下、市場変動に関する経済的な事象を次々と発生させ、対応を討議・発表させることを通じて、小学生の主体的な学びを実現している点が高く評価されました。
推奨実践事例賞「自ら考え、豊かに表現できる児童の育成~金融・金銭教育の視点を生かして~」(研究校部門)は、過去10年間における3つの小学校における金銭教育研究校としての研究および実践の内容を紹介しています。長年に亘る研究・実践の成果を集大成され、他校にも参考になる指導計画や全体目標の体系を含めて紹介されているとして高く評価されました。
今回のコンクールでは、次期学習指導要領改訂の先取りとも位置付けることのできる大変意欲的で多角的なアクティブ・ラーニングの実践や社会のニーズをとらえた明確な問題意識に基づく提言が多数寄せられました。特賞、優秀賞、推奨実践事例賞を受賞した優れた作品が広く取り上げられ、金融教育への機運がより一層高まることを願っています。