金融教育に関する実践報告コンクール
「金融教育を考える」第8回小論文コンクール(2011年)
応募状況および特賞受賞作品の紹介
「金融教育を考える」第8回小論文コンクールでは、教員や研究者、教員を目指す学生の皆さんから26編の作品が寄せられ、厳正な審査の結果、特賞1編、奨励賞6編の入賞作品が決まりました。募集テーマは、これまで同様「金融教育に関する授業や学校行事での実践報告」、「これから取り組んでみたい金融教育」、「これからの時代に求められる金融教育」、「金融教育をさらに普及していくための提言」、「その他」の5つでした。特賞を受賞した作品を紹介します。
特賞「『需要と供給ってなに?』からはじまる経済学習の単元開発~『西小プロジェクト2011 私たちの暮らしと経済』の実践を通して~」は、小学校6年生の、総合的な学習の時間における5か月の実践を紹介したものです。同校では、6年生が地域の商工会と共同で、学校行事として「街道カーニバル・子ども門前市」を実施しています。筆者は、児童の発達段階を考慮し、経済のしくみを「需要と供給とは」「ものの値段の決まり方」「需要と供給のバランスが崩れると」の3点に絞って学習指導を進めています。
子ども達は震災後の物不足という実体験から需要と供給の関係に目を向け、価格決定のしくみや、インフレとデフレなどを学んでいきます。物品販売を体験する学校行事を楽しみにしながら子ども達が授業に取り組んでいく様子が窺え、他校にとって参考になるすぐれた実践報告です。
学校行事と金融教育を関連づけるアイデア、地域の信用金庫や財務事務所と連携した授業づくりも高く評価されました。
本コンクールには、学校現場での質の高い実践事例だけでなく、教育系大学の学生による金融教育への提言や単元提案も多く寄せられています。本年は、教職を目指す大学生の立場から教壇にたった場合にどのような授業が可能であるかを、自らの体験や考案したボードゲームを紹介するかたちで論述し、奨励賞に選ばれた作品もありました。本コンクール受賞作などを参考にしながら、より多くの学校教育関係者に実践の裾野をさらに広げ、定着させていっていただければと思います。