金融教育に関する実践報告コンクール
「金融教育を考える」第5回小論文コンクール(平成20年)
講評
第5回を迎えた「金融教育を考える」小論文コンクールには31編の作品が寄せられ、その中から厳正な審査を経て優秀賞3編、奨励賞4編の入賞作品が選ばれました。
今回は「金融教育に関する授業や学校行事での実践報告」、「これから取り組んでみたい金融教育」、「これからの時代に求められる金融教育」、「金融教育をさらに普及していくための提言」の4つのテーマを掲げ、ここに属さないお金や金融・経済に関する教育についての意見も募集対象としました。
また、共同執筆や将来教員を目指す大学生にも広く応募を呼びかけ、当コンクールの裾野の広がりと、応募作品の水準の向上を目指しました。結果的に、共同執筆による応募や大学生からの応募もあり、多様な実践や小論文が寄せられました。
優秀賞を受賞された「米作りの会社『なめがたガキンチョ米会社』経営の試み」は、小学校5年生の総合的な学習の時間における約1年間にわたる実践報告です。米作りの本格的な会社経営を通じて経済活動の一端を体験的に学ぶと同時に、勤労に裏付けされた金銭感覚を培い、また自ら考え、判断し、行動する児童の育成を目指しました。こうした取り組みによって子どもたちの視野が広がり、大きな達成感が得られた様子が感じ取れました。
「高校における『求められる金融教育の体系的学習内容』とは何か―商業高校における金融教育プログラムと授業実践を通して―」は、商業高校における学習プログラムの体系化を試みた論文です。まず金融教育について考察し、商業教育と金融教育の関係を整理しています。次に、体系的な金融教育のプログラムとして、6つの「原理」(貨幣の時間価値とキャッシュフロー、収益率、リターンとリスク等)を基礎におく「商業教育における金融教育プログラム」を作成し、さらに、パーソナルファイナンス学習プロジェクト等の特別プロジェクトへと意欲的な実践が報告されています。
「高校で本当に必要な学びとは何か―スキルとネットワークの形成をキーワードに授業を変える―」は、学力不足や出席数の不足など多くの課題をかかえる高校で、生徒と教師が共同で学ぶ探求型学習を中心にした授業の実践報告です。そこではスキルを身につけ、将来役立つネットワーク形成を可能にすることが大事であるとし、調べ学習に積極的に取り組んだり、自分のアルバイト先の雇用契約書をもらい労働条件について議論したりします。生徒たちと格闘しながら社会性を身に付けさせようとする日頃の努力が目に浮かぶ作品でした。
残念ながら今回は特賞を見送らせて頂きましたが、子どもたちが「生きる力」を確実に育くんでいくために、皆様には金融教育の裾野の拡大にご協力をお願い申し上げる次第です。